珈琲時間 / 脱皮━MAN━
薄毛という現実はその男の日常に張り付くように突きつけられて久しい。 40歳を迎えた平日。弓張月の元、煌々と聳え立つマンションの一室、鏡の前に立つ男は目を瞑って天を仰いでいた。 ...
掌編小説とカクヨムで長編書いてます。
薄毛という現実はその男の日常に張り付くように突きつけられて久しい。 40歳を迎えた平日。弓張月の元、煌々と聳え立つマンションの一室、鏡の前に立つ男は目を瞑って天を仰いでいた。 ...
俺はタカシ。 17歳の高校生だった。 「だった」ってのは、ある日、通学途中で交通事故に遭い、気付いたら奇妙な世界に転生して今は勇者となり旅をしているからだ。 パーティーは魔法...
「フルーツモンスターや……」 「え、知ってるの? ていうか見えるんだ……」 僕は今幽霊と暮らしている。いや、幽霊なのかも怪しいが、浮遊しているし、触れることが出来ないし、何せ携帯のカ...
港近くの19時半。 潮臭い風とタバコの煙で鼻腔を満たす。ひしめく倉庫やら事務所から帰宅する反対車線は、だいたいこの時間ピークを迎える。なんだか今日は気が重い。いや、いつものことか...
世界へ 私は幽体離脱を会得して20年になる中年だ。何を言っているのだろうかと訝しむことだろうから、まず幽体離脱というものについて説明する。 幽体離脱とは文字通り肉体から幽体が...
ゴールデンウィークの里山公園の駐車場は、思ったよりもガラリと空いていて、桜はすっかり新緑に染まり、今年も順調に夏に向かっているらしかった。 結婚式の準備のため実家に帰省してい...
食事は「何を食べるか」より「誰と食べるか」が大事なんだよ。 誰かがそんなことを言っていた。 隣には同期きってのアイドルAさん。 仕事終わりにも関わらず、女性らしい香りが挙...
尽きることのないデブリの中から資源を採取する。 宇宙空間のゴミ溜めの、その男の一日の時間は、そうやって消化される。それはこの時この男この仕事の名の下に、明らかに正しいことであっ...
「ひと昔前、ファシストという言葉があってね」 「はい。存じ上げています。独裁的、全体主義的思想の信奉者のことですよね」 「さすが記者さん。お若いのによく勉強されてる。それでね、い...
今日のマスターはいつも通りではなかった。 コーヒーは相変わらずとても美味しい。 ここのコーヒーは県内でも有名な焙煎所の物。 でも彼が淹れるとこうも違う。 何と言うか、疲れ...