しとえ / 小鳥1羽分の重さ
妻が死んで1年が経った。 法事に来ていた娘たち夫婦は昨日帰ったばかりだ。 妻の墓に今日も線香を供える。 娘夫婦は同居しようと勧めてくれるが、妻と共に過ごしたこの地を離れる気に...
詩人/作家 Xのアカウントにて詩、140字小説、掌小説など短文学をメインに活動しております。
妻が死んで1年が経った。 法事に来ていた娘たち夫婦は昨日帰ったばかりだ。 妻の墓に今日も線香を供える。 娘夫婦は同居しようと勧めてくれるが、妻と共に過ごしたこの地を離れる気に...
「パンダさん、いなくなっちゃったんだね」 パンダのぬいぐるみを抱えてしょぼんとしている息子。 息子が誕生日の春休みにはいつも白浜のパンダを見に行くことにしていた。 写真立てには去年...
花よ花よ 愛する花よ どうしてほんのわずかな時間だけ しか咲いてくれないのです。 花よ花よ 愛する花よ ずっと咲いてておくれと望むのは あまりに自己中心でしょうか。 花よ花よ ...
9月1日 『鬼百合の里山』 山はすっかり鬼百合の季節だ。 鬼を打ち払ったという賢者は鬼たちと共に亡くなったという。 後には山に鬼百合の花が咲くばかり…… 亡くなった賢者の化身なのかそれ...
「ばあちゃんこれは何?」 孫が家にやってきてそう尋ねる。 「電話だよ」 「なんかママが持ってるのと違う」 娘はスマホしか持っておらず家に固定電話はない。 今時の家庭はそんな家庭が多...
スーパーのアルコールコーナーをカートを押しながらゆっくりと進む。 そろそろ冷蔵庫のビールが切れているから買って来なくちゃ。 だけどあの人、どのビールがいいって言ってたっけ? 私は...
喪中ハガキを手にした時、 彼女が死んだことを知った。 もう30年も会ってない友人だ。 同じ中学の同級生。あの頃の一番の親友だった。 毎年、年賀状だけは交換していたのだ。 年賀状...
幸福はどんな色をしているだろう…… それはきっとあの日のきらめきにも似た色。 母が入院したと妹から連絡が入った。 風邪をこじらせての肺炎らしい。 年齢を考えればいつ何があってもお...
ノイズが聞こえる。 ノイズが聞こえる、ノイズが聞こえる、ノイズが聞こえる。どうしてこのノイズに誰も気がつかないんだ。ノイズの向こう側に 別の世界がある。これはその世界からの音声だ。...
田んぼのそばのあぜ道に小さなほこらが一つ、ありました。 5月のあるはれた日に カエルの子どもが田んぼから上がってきました。 やっとオタマジャクシからカエルになったのです。 カエル...