しとえ / 言い訳の太陽
今年の秋は涼しい。 8月が終わるなり毎日のように雨が降って、九月の一ヶ月間はずっと雨だった。 例年 このシーズンになるとまだまだ暑い日々にうんざりしていたのに、今年は早々と 秋物の...
詩人/作家 Xのアカウントにて詩、140字小説、掌小説など短文学をメインに活動しております。
今年の秋は涼しい。 8月が終わるなり毎日のように雨が降って、九月の一ヶ月間はずっと雨だった。 例年 このシーズンになるとまだまだ暑い日々にうんざりしていたのに、今年は早々と 秋物の...
空の色が変わってきたような気がする。 家事を一段落した私は娘を連れて散歩に出かけた。 穏やかな風を感じながら少しずつ季節が春に近づいていくのを感じる。 神社の前を通りかかると甘い...
雨風が強い晩でした。 暖炉の火のそばで温まっているとふと扉を叩く音。 コンコン! 誰かが訪ねてきます。 扉を開けると小さな男の子が立っているではありませんか、土でドロドロの足。...
夜になってあたりが真っ暗になってしまったので影法師はそっと眠っている宿主から離れました。 どうせ夜なんだから鍵がなくても困らないだろう。 影法師はこっそりと闇に紛れて街をうろつ...
どうやらこの世界にバグが発生してしまったらしい。 人々は虫取り網を持ってバグを捕まえて回る。バグはなかなか減らない。仕方がないので政府はバグを捕まえるの止めることにしたらしい。...
今年は米の値段の暴落がひどい。 去年の半額の値段だ。あんまりだと思う。 そりゃ、消費者からしてみたら買いやすいかもしれないけれど、中東情勢の不安定さから原油価格の高騰でコストの方...
ある時海に沈んだお月様を、大きなクジラが食べてしまった。 「だってパンケーキみたいにおいしそうに見えたんだもん」 とクジラは言う。 仕方がないので神様は僕の畑にあったイチゴを一つ摘...
「ねえママどうしてパパと結婚したの」 「ママね、パパ以外の人が好きだったの」 「……え?」 「パパには秘密よ」 「うん……」 「ねえパパどうしてママと結婚したの」 「ママはね、パパ以...
「修理お願いできないかしら?」 よく晴れた昼下がり、一枚の写真を持って一人の女性が訪ねてきた。 「これはまた随分とご立派な……」 写真には大きなからくり時計が写っていた。 「祖母のも...
空から舞い落ちる雪は白く何もかも覆い隠してゆくようだった。駅の前のイルミネーション、騒々しい街の音。 誰もが足早に過ぎ去って行く中で私は1人彼を待っていた。 私だけが動かない。...