しとえ / 屋上の春風
屋上の扉を開けると暖かな春の風が頬を抜けて行く。 男の人の後ろ姿、同期入社の桜井君だ。 「隣いいかな?」 「え?あ、どうぞ」 桜井君はちょっと戸惑ったようにそう言った。 「いつも...
詩人/作家 Xのアカウントにて詩、140字小説、掌小説など短文学をメインに活動しております。
屋上の扉を開けると暖かな春の風が頬を抜けて行く。 男の人の後ろ姿、同期入社の桜井君だ。 「隣いいかな?」 「え?あ、どうぞ」 桜井君はちょっと戸惑ったようにそう言った。 「いつも...
廃墟に1人の男が住み始めた。 戦争で済む場所を失った男だった。 男に妻ができた、家族ができた。 家族は増え、外からやってきた人間も住み始めた。 いつのまにか小さな村になった。 小...
陰鬱な空が重くのしかかっていた。 足はきっと鉛よりも重い、吐き出したため息は空に登って灰色の雲になっているのだろう。 私が生きている世界は色がないかの様に感じた。 ふと顔を上...
何でもコピーできるコピー機ができた。 死んだペットをコピーして、食用の豚をコピーして、電球をコピーして、車をコピーして、何もかもがそっくりにコピーできる。 そのうち人間もコピーし始...
ある晴れた秋の昼下がり、子猫のクロちゃんトラックの上でお昼寝をしました 暖かくてポカポカ 気持ちが良いのです。 すや すや すや 優しい 秋の風が吹きます。 「ちょっと荷物を...
Day 3: チョコレートの匂い / 夜行列車 ほんのりと甘いチョコレートの香りがした。 それは遠い日の記憶へ私を巻き戻してくれる。 10代の後半だった。 私はカバンを一つ持って夜行列...
Day 2: 古い鍵 引き出しの中から古い鍵を見つけた。 一体これは何の鍵だろう?疑問に思ったが家族全員に聞いても どこの鍵なのかわからない。 だから、 「この鍵をちょうだい」 と父...
Day 1:忘れられた手紙 / 最後のメッセージ 父が亡くなったという知らせを聞いた。 父と母が離婚したのはもう30年も前。 父のことはよく覚えていない、私はまだ幼稚園くらいで全く記憶に...
どこまでも行きたいところへ 行けば良いのだと 君は言っていたね。 私にはそんな勇気がなくて いつも足踏みをしてしまった だけど今は思いっきり 走り出しているんだよ。 足踏みは助走だ...
オルゴールを開くと美しいメロディーが流れた。 それは時の彼方に置き去りにした懐かしい記憶を呼び起こす。 夢の底に沈んでしまった原石のような輝きをもう一度。 オルゴールの上で踊るバレ...