ころもやぎ / 宿命
俺が今まで本気で人生を諦めた事がなかったのだと気付いたのは、戦争で片腕を失ってからしばらくしての事だった。 片腕を失う前、俺は「いつどうなってもいい」とか「死ぬのは怖くない」と...
ころもやぎです。文章を書くのが好きです。よろしくお願いいたします。
俺が今まで本気で人生を諦めた事がなかったのだと気付いたのは、戦争で片腕を失ってからしばらくしての事だった。 片腕を失う前、俺は「いつどうなってもいい」とか「死ぬのは怖くない」と...
「私の人生は、これまでもこれからも、くだらないおとぎ話を書き連ねる為だけに存在するんだ」 屋敷の一角にある書庫にて、ご主人様がポツリと言った。 彼女は部屋に置かれた机で何やらノ...
ありふれた真夜中。ふと、部屋のドアが僅かに開いているのに気付く。 試験勉強の最中だった私は、中途半端に開いているドアの隙間を不気味に感じた。闇の中に紛れ、知っているのに知らない...
秋晴れの十月、小説家の兄が死にました。 僕が兄のアパートへ一ヶ月ぶりに顔を出しますと、兄は敷布団の上で腐り散っておりました。 黒ずんだ手にはボールペンが握られ、近くにあった低...
「子どもが元気に外を走り回れる世界ってのは、良いモンだな」 昼下がりの公園でそう呟く貴方の横顔は、いつにも増して穏やかに見えました。 「そうですね。こんな日常が、いつまでも続けば...
とあるホテルの裏路地に、みすぼらしい少女が住んでいた。彼女はホテルの従業員が建物の裏から捨てる残飯や使えなくなった品々を漁り、生活の基盤を整えている。たまに衣類やタオルがあるとラ...
その日、偶然魔族の男と機械仕掛けの男が道端で再会した。 「おうおう、こりゃまた久方ぶりじゃのお、機械男」 「こんにちは、魔界の方。こんな場所で顔を合わせるとは思っても見ませんでし...
「最近、僕の下駄箱にラブレターを仕込んでるヤツがいるみたいなんだ」 放課後の教室で僕がそう言うと、僕の後ろの席に座る君は日誌を書きながら「そう」とだけ呟いた。冷静沈着、興味なさげ...
ロマンティックなミルキーウェイに浮かぶ小さなカフェ。星くずの舞う宙を度々見ながら、私達は話をしていた。いや、一方的に私が話をしていた。 話の内容は様々だ。私が縁を切ったつもりの...
星の流れる美しい川辺りで、私は彼を待っていた。 川の水を掬うと、金平糖の様にきらきらと輝く星の水が手を濡らす。溢れ落ちる光の雫を、一人見つめて小さく息をついた。 彼に会える日...