「そういうのしんどいよ」
あれが
最後かもしれなかった
ブレーキの音。
誰と行くの?
どこ行くの?
何時に帰ってくるの?
遊びでも仕事でも
聞きすぎて
あなたが
私に近づいてこなくなった。
そして
あの言葉も今の距離も
「もう少し距離感気をつけて」って
意味だったのかも。
あなたから届いた
最後のメッセージが読めずにいる。
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新しい門出だと祝ってくれてるのか
それとも
慰めてくれてるのか
記念日に予約してた
ディナー前に
あなたと別れ
ヤケになって
一人できてやった。
「ここ一度来てみたかったし
予約取るのも大変だったし
キャンセル料かかるし」なんて
料理が運ばれるたびに
言い訳を重ねて食べて。
最後に
いちごの代わりに
薔薇があしらわれたアイス。
一口食べたら
口のなかで香りとともに溶けて
涙も溶け出した。
『薔薇をひとくち』より
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そよぐカーテン
外からの風
いや扇風機が向いただけかよ
膨らんで
網戸に吸い付いて
藍色の織り目から透ける光
少し薄暗い部屋の
気だるい夏の空気
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扇風機が張り切って首を振っている
生ぬるい風が腕から顎をなぞっていく
遠くから響くような、規則的な機械音
ぐわんぐわんと思考が渦のように巻き込まれていく
冷蔵庫からペットボトルの氷を取り出した
こめかみに当てて、また耳を澄ます
外ではエンジン音と風が鳴っている
蝉が鳴き出したと思ったら消えてしまった
ああ、蝉の声は耳鳴りに似ている
忘れていたお友達が耳の中でキンキンとはしゃぎだす
蝉の声が復活した気もするけれど、まるで分からない
規則的な中低音は、扇風機がもたらしているのだろうか
スイッチを切れば謎は解けるのだ
だがこのままうねりに身を任せて目を閉じよう
ああ、やはり蝉はうるさい
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死を思う
死を思う
死を思う
死を思う
ふふふふふ
ちょっと楽しくなってきた
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啞々、このクソったれな世界に
賞賛を送ろうじゃないか!
僕たちの時代は
もう死に絶えてしまった。
有象無象の墓ばかりが
ピカピカと輝いて
滑稽だね
愛おしいね
晴れ渡った空の下、
次の世代が手遅れにならないように
僕たちの墓は
存在しているのさ!
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信号機が壊れてしまった
ずっと赤のままで
僕はそこから進むことができない
世界なんてとっくに終わりを迎えたのに
律儀にルールを守っている。
君、おかしいと思うかい?
僕もおかしいと思うよ
信号機が壊れてしまった。
もう赤でも青でもない
ブルーの空ばかりが広がって
僕は一歩踏み出した。
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嘆きの庭に夢が咲いたなら
私は1人そこに行きましょう。
月明かりをポケットに入れて
ハミングをしながら、
水面の上を歩いて行くのです。
嫌だ、嫌だ、嘆いた日々も
石のように硬くなってしまった心も
カバンの中に詰め込んで。
ごらんなさいな、こんなにも
優しい夜風が吹いている、ではありませんか!
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人に想いを伝える事
例えば 言葉を紡いで相手に語りかけたり
例えば 唄に乗せて唄声を相手に届けたり
出来るのならば 私もそうして想いを伝えたい
けれど私は 生まれながらに声を神様に奪われている
だから私は 詩を書く
人に想いを伝えるために
それが私に出来る 感情を表す唯一の手段だから
私に声を与えなかった神様を恨んだ日もあったが
今は 詩を書くという道を残してくれた事に感謝している
想いを伝える方法は一つじゃない
それが私にとっては 詩を書き綴るという行為だった
ただそれだけの事である
だけど 書いた詩を相手の心まで
そう 好きな気持ちを伝えるのは なかなか難しい事である
どれだけ感情を込めて 詩を綴ったところで
そもそも 相手がそれを目にしてくれるかは分からない
もし 目にしてもらえたところで
それが伝わるとも限らない
でも それは
言葉を紡いで相手に伝える事も
唄声に乗せて相手に届ける事も
結局は同じ事である
声で気持ちを伝えても
それが本当に伝わるとは限らない
それは 言葉も 唄も 詩も
きっと同じなのだろう
だから私は 詩を書き続ける
少しでも 人に想いを伝えるために
少しでも この気持ちを届けるために
私に声がない事を理由に それを言い訳に
気持ちを諦めるような事はしたくはないから
綴った想いが届けばいい
それがもし相手まで届かなかったとしても
きっと私は 詩を書く事をやめないだろう
他に方法がないから?
そうじゃない
詩を書く事
それそのものが 私の生きる証なのである
もしかすると
私は詩を書くために
声を失くしたのではないだろうか?
そう感じる事すらある
だから私は 今日も詩を書き続ける
いつか 綴ったこの詩があなたのところまで
あなたの心まで きっと届くと
そう信じて
私の綴る声なき声
言葉は声にならずとも
それは確かに 声として存在している
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あなたからの
最後のプレゼント。
クリスマスの日
別れ話をされると同時に
「せめてこれ。
お餞別?的な」と
手渡された。
おとぎ話の葛籠や
玉手箱的な?
眉をひそめて受け取ったけど。
家に帰って
箱ごと潰して
捨ててあげた。
「玉手箱を壊すとき」より
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