SF・ファンタジー
否定するための銃
659文字
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今日 生きた事を否定するための銃
使い方はこうだ
最初は空なので
とりあえず弾を込める必要がある
まずは
今日あった嫌な事を思い浮かべる
少しでも構わない
だが たくさんでも構わない
浮かべた思い出の数だけ 弾数は増える
弾数が多いに越した事はない
いっそ詰められるだけ詰めておけ
そうしたら
あとはそいつをこめかみにあて
そのまま力いっぱい引き金を引く
大丈夫
痛みはない
発砲音さえしない
それどころか硝煙すら上がらない
僅かに感じるとすればカチッという
引き金を引く乾いた音
それだけが
今日 生きた事を否定するための銃に手を掛けた
唯一の証になる
今日あった嫌な事だけ綺麗さっぱり忘れられる
弾痕は残るが
それ以上も以下もない
この様に便利な銃ではあるが 多用はあまり勧めない
まず
銃なので弾倉には当然 限りがある
限界まで弾を込めた場合
空きを作らない限り 次の弾を込める事は出来ない
次に
証は消えない
嫌な思い出は消えるが
それを消したという事実は消えない
最後に
よく考えてから使ってほしい
撃つ前に
出来ればその前に 弾を込める時点で
しっかり悩んでから手に取ってほしい
嫌な思い出は確かに消せる
ただし
一度 撃った弾をもう一度使う事は出来ない
なぜならばその記憶はすでにない
撃ったが最後
その思い出はもう戻らない
以上
これらの点をよく踏まえた上で使用していただきたい
なお
今日 生きた事を否定するための銃の使用に際して
一切の責任は負わない
嫌な思い出の中に消したくない
何かが混じっていたとしても
抗議には応じかねる
全ては自己判断で願う
ちなみに私の場合
とりあえず近いうちこの銃を持ち
質にでも足を運ぼうと考えている
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