森陰五十鈴 / 花を装う
政治なんてつまらない。常に腹の探り合い。 王女に生まれたら、問答無用。すれ違う人どころか、世話をしてくれる使用人、血の繋がった家族相手であっても、油断などできはしない。 愛だ...
ファンタジーを主としていますが、広めのジャンルで執筆をしています。 しばらくは、規定文字数の作品を転載していきます。 現在、「小説家になろう」、「カクヨム」、「Nolaノベル」でも活動中。
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政治なんてつまらない。常に腹の探り合い。 王女に生まれたら、問答無用。すれ違う人どころか、世話をしてくれる使用人、血の繋がった家族相手であっても、油断などできはしない。 愛だ...
「スノードロップの鉢が欲しいの」 キーラお嬢様が唐突にそう言い、アリエッタは目を瞬かせた。季節はちょうど春を予感させる頃。スノードロップなど簡単に手に入るが。 「お庭にあるじ...
壊れた女が、子どもを産んだ。 その女は、女王となった私の政敵で、異母姉だった。私と争った末に心を壊した。 子どもは男児だった。 石壁がむき出しの部屋で、木の板に藁を置きぼ...
ルベット家は商人を邸に呼び寄せるほどの財力はない。だから買い物は基本的に街に出ることになる。 その日もアリエッタは、キーラお嬢様と買い物に出ていた。目的は特になく、強いて言うな...
最近、お嬢様は読書に夢中になっているようだった。 娘を可愛がっている旦那様と奥様は、これを歓迎した。キーラお嬢様が読んでいるのは少女趣味の娯楽小説。だが、本を読む――活字に触れる...
多くを望んではいないのです。 心地の良い音楽に身を委ねていたいだけ。 名声まで必要ありません。 フェッテがきれいに決まったら、褒めてくれればそれで良い。 王子様とのグラン...
地面に突き立てた剣の先で、白い花びらが散っていった。 膝を付き、剣にしがみつくようにして身体を支え、アディルは粗い息を調えようと、二度三度と深呼吸する。 背を飾った青のマント...
ルベット家は、海沿いの景勝地に別荘を建てた。 今日は、その別荘が完成したので、家族で内見に来ている。 崖の上に造られた街、その郊外。さらに崖を上ったところに建てられたのは、海...
灯りのない箱の中。その一面にだけ張られた硝子窓から、青白い光が入り込む。まるで海の中にいるような四角い部屋の中で、硬質な弦の音が鳴り響いていた。 床を隠す黒い絨毯。その中央に置...
操作キャラがアバター形式のゲームをプレイするとき、付ける名前はまちまちだ。自分の名前は当然付けない。SNSのアカウント名で統一したりもしない。はまっている漫画のキャラの名前だったり...