SF・ファンタジー

星に願いを

1,836文字 約4分で読了
作者:しとえ
プロローグ  小さな星のかけらはその青い星を見てとても美しいと思いました。 青い空、青い海、そこにたくさんの命がひしめき合って生きているのです。 大気に突入し小さな星のかけらは赤く燃えながら人々の声を聞きました。 たくさんの人々の願い祈り救いを求める声。 小さな星のかけらは消えたくないと思いました。 このまま消えてしまってはせっかく ここまでやってきたのに…この美しい星でたくさんの人々の願いを叶えることができたらどんなに幸せだろうと思いました。 小さな星のかけらは地上に降り立った時、人の子供になっておりました。 人々の願いを叶えるために生まれたのです。 その1  悲しみが胸を押しつぶした。 少しもうまくいかなかった恋。 あの人がもう行ってしまう。このまま別れてしまうのはあまりにも辛い。 誰か私の話を聞いてほしい……そう思いながら家に帰る道、いつもとほんの少し違う道を通ってみたくなった。 こんな道あったっけ……? 古びた民家に『占いやります』と書かれた看板を見つけた。赤い丸の中に七つの角の星。 看板の下の方には『環赫(かくかん)の七芒星』……この占い師さんの店の名前だろうか? なんとなく気になって入ってしまった。 中に入ると男性とも女性とも若いとも年を取っているともわからない人物が椅子の前に座っていた。 「こんにちは」 「こんにちはいらっしゃい」 優しい声でそう語りかけてくれる。 声もまた中性的で一体この人物が男性なのか女性なのか年齢がいくつぐらいなのか判別ができない。どうしよう何を話せばいいんだろう。 「お気楽になさってください。何を話してもいいんですよ。急に占いの相談内容が難しかったら少しお話ししましょう」 その占い師さんは優しい声で語りかけてくれた。 その声にホッとする。気がつけば私は随分と長い間話し込んでいた。 悩んでいた相談内容の話ができるようになったのは店に入ってから1時間以上経ってからだ。 好きだった人が海外に行ってしまう。私は思いを伝えることもできなくってどうすればいいのかわからない。他人から見れば 私の悩みというのは些細なことなのかもしれないけれど ほんのちょっとの勇気が出せずどうすることもできなくって 立ち止まってしまっている、そんな思いを私は話していた。 「あなた自体どうしたいの」 そう聞かれて自分の気持ちと向き合う。 「せめて最後に一言話したいです」 「彼はいつまで日本にいるの」 「明日まで、朝には飛行機で飛び立っちゃう」 「だったら急がないと」 その人は私に包み紙に入った小さな星のかけらのような金平糖を1つ渡してくれた。 「あなたほんのひと欠片の勇気を」 私は店を出て家には帰らず空港へと向かった。 彼がやってくるまで空港で彼の乗る便を待ち続けた。 彼の姿が見えた。 飛行機に乗ってしまう前に…… 私は金平糖を口に放り込んだ。 コロコロと舌の上で転がる小さな星のかけら。 私は彼に駆け寄った。 その2  頑張っても頑張ってもうまくいかない。 私なりに努力はしてきたつもり。 家族はみんなわがままだし、私一人では支えきれない。 どこか遠くに行きたいけれど、どこにも行けない。 ずっとそんな思いを抱えていた。 その店を見つけたのはたまたまだった。 『環赫の七芒星』……占いのお店。 そこのオーナーはとても不思議な人だった。 話しやすい雰囲気を身にまとい、中性的でどこか人ではないような印象を受けた。 気がつけば、わぁわぁと泣きながら家族の話をしていた。 きっと解決策なんてないのかもしれない。 でも話を聞いてくれる人がいるのは初めてかもしれない。 ただただ嬉しかった。 気持ちが落ち着けばオーナーがいっぱいの紅茶を出してくれた。 飲み干せば底にスターアニスが沈んでいた。 ほんの少しスパイシーな味がしたのはこの香辛料 だったのだろう。 店の看板の星のマークにも似て、私の心を落ち着けてくれた。 強くなんてなれない。 きっと 解決法もないかもしれない。 だけど、この人は私の話を聞いてくれた。 相談に乗ってくれる人は他にもいるのかもしれない…… 小さなスターアニスの入った瓶を受け取って私は家に帰った。 明日からまた頑張れる。 少し行政の相談窓口に相談してみよう。 私の言葉を聞いてくれる人がいるかもしれない。 エピローグ  星の子は人になってたくさんの人々の話を聞きました。 たくさんの人々の力になりました。 人々の悩みは尽きることなく 星の子はずっと地上にいるのです。 あぁ、そこのあなた。もし悩みがあるのなら星の子に相談しにいらっしゃい。 『環赫の七芒星』でお待ちしておりますよ。
2026/09/26 ・ 👁️ 73回 ・ 💬 0件

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