SF・ファンタジー
テンプレ勇者
2,976文字
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第一章:運命の旅立ちと最初の仲間
「おお、アルスよ! 死んでしまうとは何事だ!」
神聖ルドラ王国の玉座の間。お約束のセリフで始まったわけではないが、国王の言葉にはそれだけの重みと切実さがあった。
世界は今、復活した魔王の闇に包まれようとしている。
「アルスよ、お前が伝説の『光の勇者』の生まれ変わりであることは、その右腕にある聖痕が証明しておる。この『王家の剣』と『50ゴールド』、そして『薬草3個』を授ける。魔王を討ち倒し、世界に平和を取り戻してくれ!」
「はい、陛下。この命に代えても!」
御年十六歳の少年、勇者アルスは、一点の曇りもない真っ直ぐな瞳で頷いた。
城を出たアルスは、さっそく最初の町へと向かう。
道中の草原で現れたのは、お約束の最弱モンスター、青くてぷるぷるした「スライム」だ。
「体に気をつけてね、アルス!」
幼馴染の僧侶リィナが、頼んでもいないのに町の出口で待っていた。
彼女はアルスに密かな恋心を寄せる、少しお調子者だが回復魔法の天才である。二人はスライムをサクッと倒して経験値を稼ぎ、最初のレベルアップのファンファーレを頭の中で鳴らしながら、次の国を目指した。
道中の賑やかな酒場に立ち寄ると、大泥棒や荒くれ者に絡まれている、つんとした態度の美少女がいた。
エルフの国からやってきた、高い魔力を持つ魔法使いセレナだ。
「ちょっと、馴れ馴れしく触らないでくれる?」
アルスが割って入り、持ち前の正義感で悪党たちを成敗すると、セレナは顔を赤くしてそっぽを向いた。
「べ、別に助けてなんて頼んでないんだからね!
でも……まぁ、魔王を倒すっていう目的は同じみたいだし、一緒に行ってあげてもいいわよ。勘違いしないでよね!」
これ以上ないほどテンプレートなツンデレ台詞と共に、三人目の仲間が加わった。
◆
第二章:立ちはだかる四天王と伝説の武具
旅を続ける一行の前に、突如として激しい炎が燃え上がった。炎の中から現れたのは、魔王軍四天王の一人、火炎将軍フレアだ。
「ククク……よくぞここまで来たな、光の勇者よ。だが、お前たちの旅もここまでだ!」
フレアは圧倒的な火力の魔法でアルスたちを追い詰める。しかし、その時だった。
「待たせたな、勇者!」
大剣を担いだ熱血漢、戦士ガイが乱入してきた。ガイはフレアの炎をその肉体で受け止め、不敵に笑う。
「俺の故郷を滅ぼした魔王軍め……アルス、お前の背中は俺が守る! いくぞ!」
ガイの加入により、戦況は一変した。アルスはセレナの氷結魔法でフレアの弱点を突き、リィナの「ヒール」で傷を癒やし、最後はガイと二人の連携攻撃でフレアを撃破した。
フレアは「ば、馬鹿な……この私が、人間ごときにぃぃ!」と、お決まりの捨て台詞を残して爆散した。
四天王を倒したアルスたちは、次なる目的地、古代の遺跡へと向かった。そこには、世界を救うための絶対条件である『伝説の聖剣』が眠っている。
遺跡の最奥、台座に突き刺さる眩い剣。
アルスが手を伸ばすと、遺跡の守護者である古代のゴーレムが動き出した。試練の始まりだ。
「僕たちの絆の力、見せてあげる!」
激しい死闘の末、アルスが台座から剣を引き抜くと、周囲は眩い光に包まれた。
「これぞ、闇を払う伝説の武器──『アヴァロンの聖剣』だ!」
剣を手にしたアルスの攻撃力は跳ね上がり、ゴーレムを一撃で一刀両断した。これで魔王のバリアを破壊する準備は整った。
◆
第三章:魔王城の決戦と、覚醒
一行はついに、空が常に紫色の暗雲に覆われた「魔界」へと足を踏み入れた。禍々しくそびえ立つ魔王城。
城の門番、中ボス、そして残りの四天王たちを「くっ、ここは俺に任せて先に行け!」というガイのテンプレ自己犠牲(※のちに生存が確認される)を挟みつつ突破し、アルスたちはついに最上階の扉を開けた。
大きなパイプオルガンの音が響く中、豪奢な玉座に座っていたのは、漆黒の鎧を纏った魔王ガルバだった。
「よくぞここまで辿り着いた、虫ケラどもよ」
魔王は低く冷酷な声で笑う。
「光の勇者アルスよ。お前の力は認めよう。どうだ? 私の部下になれば、世界の半分をお前にやろう」
「断る! 僕が欲しいのは世界の半分なんかじゃない、みんなの笑顔だ!」
1ミリの迷いもなく誘いを一蹴するアルス。テンプレートな交渉は決裂し、最終決戦の幕が上がった。
魔王の力は圧倒的だった。
ガイの盾は砕かれ、セレナの魔力は底を突き、リィナも回復魔法を唱えすぎて倒れ込んでしまう。アルス自身も血を流し、膝をついた。
「ククク、所詮は人間よ。絶望と共に消え去るが良い!」
魔王がトドメの一撃を放とうとした、その時。
「アルス……諦めないで!」
「あんたなら、絶対に勝てるって信じてるんだから!」
「相棒、お前が俺たちの希望だ!」
倒れた仲間たちが、最後の力を振り絞ってアルスの名を呼ぶ。
その瞬間、アルスの胸の聖痕が、これまでにない激しい輝きを放った。アルスの脳裏に、これまでの旅の思い出が走馬灯のように駆け巡る。
「みんなの想いが……僕に力をくれる。僕は一人じゃない。これが、僕たちの、絆の力だぁぁぁ!」
勇者の覚醒。アルスの全身から黄金のオーラが立ち昇る。
魔王の放った闇の波動を、アヴァロンの聖剣が一刀両断する。
「な、何だと!? 私の闇の力を圧倒するだと!?
馬鹿な、あり得ん! 人間の分際でぇぇ!」
「これで終わりだ、魔王ガルバ! ──ギガ・ブレード・フラッシュ!!!」
アルスが放った、全魔力と絆を込めた最強の必殺技が、魔王の身体を真っ二つに引き裂いた。
「ぐはぁっ! 私が……この私が敗れるというのか……! だが覚えておくが良い、光がある限り、闇もまた……いずれ復活する……うわああああ!」
お約束の第二形態に変身することもなく、魔王ガルバは光の塵となって完全に消滅した。魔王の消滅とともに、魔王城は崩壊を始める。
アルスたちは急いで脱出した。
◆
第四章:そして伝説へ
魔王城が崩壊すると、世界を覆っていた紫色の暗雲が嘘のように晴れ渡り、温かな太陽の光が大地を照らした。
枯れていた花は咲き誇り、淀んでいた川は清らかな流れを取り戻した。
ルドラ王国に帰還したアルスたちを待っていたのは、国中の人々による大歓声のパレードだった。
「おお、アルスよ! よくぞ魔王を倒してくれた!
お前たちこそ、真の英雄だ!」
国王は涙を流して称え、アルスに「世界を救った大勇者」の称号を授与した。
城のバルコニーから、集まった万雷の拍手を送る民衆を見下ろす一行。
「終わったのね、本当に……」
セレナが少し寂しそうに呟く。
「これからは、それぞれの道を歩むことになるのかな?」
「何言ってるんだよ、セレナ」
アルスは爽やかな笑顔で彼女を振り返った。
「僕たちの旅は、これで終わりじゃない。世界には、まだまだ僕たちの助けを待っている人がいるかもしれない。だから……」
アルスはアヴァロンの聖剣を、青く澄み渡る空へと力強く突き上げた。
「また一緒に、旅に出よう!」
「もう、しょうがないわね!」
顔を赤くするセレナ。
「どこまでもついていくよ、アルス!」
微笑むリィナ。
「ハハハ、お前とならどこまでだって行ってやるさ!」
豪快に笑うガイ。
裏切りも、斜め上の展開も、暗い陰謀も何もない。
ただ世界を救うために戦った、真っ直ぐな勇者の物語。
彼らの足跡は『伝説』となり、後世の教科書の一ページ目へと、テンプレート通りに刻まれるのだった。
END
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