SF・ファンタジー
終末の日
940文字
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『いよいよ明日、終末の日を迎えます』
何度目かの国営放送が流れた。テレビもラジオもこのアナウンスがひっきりなしに流れる。
今日は国の規則である予防接種と最後の晩餐の日だ。
なんでも、某大予言のようなものを、本気で信じてその日を痛みなく過ごそうというらしい。
最後とはついているが、既に私は三度経験している。晩餐というには、質素なものだ。
二十四時間眠っていられる錠剤と、誤嚥防止のゼリーだけ。食べる前に、日中に予防接種を受ける。薬の効き目を確実にするためらしい。
毎度、何事もなく過ごせているから、今回も不発だろうと思っている。それに、気になる事もある。
一度目の終末の日を乗り越えた時のことだ。翌日に、ご近所さんが居らず、遠くへ引っ越したと聞いた。二度目の終末の日を乗り越えた時は、翌日から高校の他クラスの生徒が来なくなり、これも遠くへ引っ越したと聞いた。
本当だろうか。
気になった私は、思いついた。
錠剤を飲まずに、終末の日を迎えてみよう、と。
そうすれば、何が起きているのか分かるはずだ。少し怖さはあったが、どうせ今回も不発だとタカをくくっていた私は、好奇心のほうが勝った。
次はいつ訪れるか分からない。何度も起きているとはいえ、不定期だから。
そうして、今日決行することにした。
学校で予防接種を受けて、夜は玄関で父が役人から受け取った錠剤とゼリーが、食卓に並ぶ。ゼリーは半透明のもので、味はついていない。あくまで誤嚥を防ぐためのものだ。
父と母が錠剤を飲む。私は飲んだフリをして錠剤をポケットに隠し入れた。そして、三人一緒にゼリーを食べて、就寝した。
翌朝、私は目を覚ました。薬が効いているのか、両親はぐっすりと眠っていた。
天気は快晴。小鳥たちも鳴いている。いい天気だ。
午前中をダラダラと過ごしていたが、何も起きない。やっぱり何もないんじゃないか、と思っていると、唐突にアナウンスが流れた。
『ごきげんよう、皆さん。今日はいい天気ですね。さて、規則を守らなかった反乱分子の皆さんは、これから処刑されます。ああ、今から薬を飲んで眠っても無駄ですよ。予防接種で体内に入れたのは、ナノマシンでしてね。こちらで全員監視できるんですよ。諦めてください。それでは、皆さん。良い、終末を』
私は目の前が真っ暗になった。
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