SF・ファンタジー

かたつむり

332文字 約1分で読了
作者:みきくきり
雨の中、赤信号がなかなか変わらない。 疲れた気分で足もとを見ると、小さな蝸牛が一匹いた。優雅に渦巻いた殻を背負い、ゆっくりとわたしの足のほうへと進んでくる。 その殻の色が、金銅仏のようなありがたい美しさ。おそらく中に幸運がしまわれていて、それをわたしの見知らぬ誰かのところへ、慎重に運んでいる最中なのだ。 わたしは少し意地悪をするつもりで傘をかたむけ、縁にたまった水滴を蝸牛の上に落とす。うまく当たらない。 そんな遊びをしているうちに、信号が青になった。じゃあね、ばいばい。 道路を渡り切ってから気づく。 もしかしてあの蝸牛は、わたしに幸運を運んできたのでは? ふりむくと、さっきまでわたしが立っていたあたりを、黒い合羽を着た人が乗る自転車が、乱暴な速さで通っていった。 Fino
2026/10/08 ・ 👁️ 59回 ・ 💬 0件

\ 次の作品を探す /

読者の感想・応援メッセージ

まだ感想はありません。

0 / 1000文字