恋愛

憧れの先輩

726文字 約2分で読了
作者:猫戸針子
グラウンドを走る先輩の姿を3階から眺めていると、トンと背中を叩かれた。 「わ!…もう、ビックリするじゃん!」 「まーた部活サボって先輩見てるんでしょ。そろそろ集まるよ」 「だって…向こうは3年だし、陸上部はもうすぐ引退しちゃうし。見れなくなるんだよ?」 友人はやれやれと私の隣で窓の外を見る。 私達は高1だ。3年の先輩を見れる機会なんてあと少ししかない。 「告っちゃえば?」 茶化してくる友人に私は膨れて見せる。 「喋ったこともないのにムーリー!見てるだけでいいもーん」 「はいはい、もう戻るよ。こっちの先輩達に怒られたくないでしょ?」 そんな先輩らなんてどーでもいい、と言いつつ、私は友人に連れられ自分の部活に戻った。 そんなある日。 バフ! 校舎の曲がり角を右に入ったら、人にぶつかった。 どこ見て歩いてんの?!私は相手をギッと睨み上げた。 「!!!」 陸上部のあの先輩だった。 「あ…ごめん」 「………。」 勢いでつい睨んでしまった。これ絶対引かれてる! 慌てた私は謝ってくれた先輩に何も言わずに走って逃げた。 *** あれから数年後。 私と先輩は社会人になり、飲み友達になっていた。結局想いを伝えることはなかったけど、今はだべりながらお互いの仕事の愚痴を言って笑い合ってる。 「そんなこともあったなぁ。あの時はこえー1年だって思ったわ」 「懐かしい青春の日々だね。輝かしい!可愛い後輩できて良かったじゃん」 先輩は今年、私のあの友人と結婚する。照れくさそうにした二人が揃って打ち明けてきた時は、お祝いだー!なんて大はしゃぎした。 淡い恋心を抱いたあの時期。そして今の居心地の良い距離感。縁って分からない。 仕事の愚痴に話題が戻ってしまった先輩を眺めながら、懐かしいあの日にほんの少し目を細めた。 ~完~
2026/10/02 ・ 👁️ 38回 ・ 💬 0件

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