SF・ファンタジー
新月
198文字
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新月の晩には、湖面に幾艘もの小舟が浮かぶ。闇の中で時が満ちるのを待つと、やがて舟底に黒い穴がぽかりと空く。ふしぎなことに、水は入ってこない。人々はその穴にむかって呼びかける。すると、親しい仲だった死者たちが、黄泉から言葉を返してくれるのだ……。そこかしこから聞こえる、しめやかな笑い声、泣き声。わたしも穴の奥をそっと呼ぶ。昔やむなく殺してしまった、わたし自身の恋心よ、どうか、もうゆるしておくれ。
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