コメディ・日常
猫は神である。僕は神の眷族である。
586文字
約2分で読了
僕は猫が嫌いだ。
理由? あつかましい、の一言に尽きる。
一方で僕の師は猫を溺愛している。
なにかしらの感染症に罹り脳がイカれてしまっていると言っていいほどには溺愛している。
ある日。
僕と師、おっさん二人で町中華のランチを堪能した帰り道。
路地の塀に群がる五匹もの猫が、井戸端会議をしていた。
ほらな。
コイツらは信用ならない。
そうやって密談を重ね、人類を都合よく利用する算段を企てているのだ。
パン!っと両手を合わせて、僕は猫どもを散らす。
「お前なにやってんだよ!」
結構な威力で肩パンを受ける。
それは決して師弟関係における愛の鞭などではない。
ましてや五十になろうかというのおっさんのすることでもない。
喫茶店に入る我ら中年二人。
僕らは一服しながら、酷く一方的に猫の素晴らしさについて僕は師から講釈を賜る。
曰く、例えば地蔵様がそうであるように、「猫」という記号はすでに人類の中で一般化され、固定されている。
つまり猫は偶像として、神仏に等しい存在なのだ、と師は話す。
そんなこと言われても嫌いなものは嫌いだ。
「君が大した理由もなく猫を嫌うのは、同族嫌悪なのかもしれない…」
師はふと視線を落とし、少し深刻そうにコーヒーを啜る。
ああ、なんだ、そうだったのか。
つまり僕は、神の眷族であった。
店を出ると、路地にある塀の質感を、無意識に目で確かめていた。
なるほど。確かにあそこからなら世界を睥睨出来そうだ。
\ 次の作品を探す /

読者の感想・応援メッセージ