歴史・時代
3566文字 約8分で読了

走るなメロス

 メロスは激怒した。必ず、あの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。  ……のだが、その決意はシラクスに到着してわずか三秒で挫折していた。 「おいメロス! 動くな! 一歩でも動いたらこの街が消し飛ぶ!」  シラクスの城門前。王の軍隊ではなく、災害対策本部のヘルメットをかぶった役人たちが、拡声器を両手に持って必死に叫んでいる。  メロスの両足には、一個の重量が三トンはある特製の超高密度タングステン製の枷がガチガチに嵌められていた。  一歩歩くたびに「ズゥン……!」「ズゥン……!」と地鳴りが響き、アスファルトの地面がクレーターのように凹む。  メロスは、夕日が沈む十倍の速さで走ることができる男だった。  これを現代の物理学で計算すると、おおよそマッハ11(時速約一万三千五百キロ)に達する。  彼が本気で地を蹴れば、周囲の空気は急激に圧縮されて断熱圧縮を起こし、マイナスからプラス数千度の熱風へと変わる。  さらに発生する強烈な衝撃波は、周囲の建物の窓ガラスを粉々に砕き、一般市民を遥か彼方まで吹き飛ばす。  つまり、メロスは歩く「戦略兵器」であった。 「メロスよ、頼むから大人しく捕まってくれ! お前がその辺をジョギングするだけで、シラクス共和国の国家予算が吹き飛ぶんだ!」 「待て! 私は王の残虐非道が許せなくて城に抗議に行きたいだけだ! 通してくれ!」 「通せるか! お前が『ちょっと急ぎ足』になっただけで、城下町が焦土と化すわ!」  結局、メロスは一歩も走ることなく、自重……というか足の枷の重さで動けなくなっているところを、超大型クレーン車で吊り上げられて御用となった。  城の地下深く。核シェルター並みの強度を誇る特殊拘留室で、暴君ディオニス王は防爆ガラスの向こうからメロスを見下ろしていた。 「ふははは、メロスよ。お前の噂はかねがね聞いている。沈む夕日の十倍の速さで走る怪物め。お前のような危険人物を生かしてはおけん。即座に処刑してやる」 「待て、ディオニス王! 私は死を恐れぬ! だが、私には一つだけ心残りがある! 私のたった一人の妹の結婚式が、三日後に控えているのだ!  お願いだ、三日間だけ執行を猶予してくれ! 妹に式を挙げさせてやりたいのだ!」  王は冷酷に笑った。 「身勝手な言い分だな。お前がそのまま逃げ出したらどうする?」 「逃げぬ! 証拠として、私の無二の友であるセリヌンティウスをここに残していく! もし私が三日後の日暮れまでに戻ってこなかったら、あの友を絞め殺すがいい!」  その時、拘留室の隅で「おいちょっと待て」と声が上がった。  そこにいたのは、たまたまシラクスの城に石細工の納品に来ていて巻き込まれた、メロスの親友セリヌンティウス(32歳・一般人)だった。 「メロス、お前何勝手に俺を人質にしてるんだよ!  そもそもお前、ここから実家までどれくらい距離あると思ってんだ!」 「大丈夫だセリヌンティウス! 私の足なら、実家までほんのまばたき程度だ!」 「速度の問題じゃない! お前がここで本気を出したら、その瞬間に衝撃波で俺の肉体が消滅するんだよ!   王様、頼むからこいつを走らせないでくれ! 処刑するなら今すぐここで、静かにギロチンとかでやってくれ!」  しかし、暴君ディオニスは、ひねくれた性格をしていた。 「面白い。その心の美しさとやらを試してやろう。メロスよ、三日間の猶予を与える。だが、一歩でも走ってみろ。その瞬間に、シラクス全土に非常事態宣言を発令し、お前を『人類の敵』として認定するからな」 「約束は守る! 走るなと言われれば、私は絶対に走らん!」  こうして、メロスの奇妙な旅が始まった。  初日。メロスはひたすら歩いた。  両足に三トンずつの枷をはめているため、最高時速は二キロが限界だった。ちょっとでも足の回転を上げようとすると、ズボンの裾が空気抵抗の摩擦で発火する。  二日目。メロスはなんとか実家にたどり着いた。  妹は大喜びし、その夜、盛大な結婚式が執り行われた。メロスは新郎に向かって「妹を幸せにせねば、マッハ11で突撃するからな」と握手を求め、新郎を恐怖のどん底に突き落とした。  そして三日目の朝。 「さあ、シラクスへ戻らねばならぬ。セリヌンティウスが待っている」  メロスは再び歩き始めた。しかし、予定は大幅に遅れていた。何せ歩行速度が遅すぎる。正午を過ぎた頃、メロスの前に、連日の豪雨で氾濫した大川が立ちはだかった。  橋は木っ端微塵に流されている。 「なんということだ……。これでは川を渡れん。いや、泳いで渡るか? いや、私の筋肉量と足の枷の重さでは、水に入った瞬間に一瞬で海底まで沈没する!」  メロスは天を仰いだ。 「神よ、私に走れと言うのですか! しかし、ここで私が一歩でも地を蹴れば、マッハ11の衝撃波でこの川の水はすべて干上がり、下流の村が津波で壊滅します!」  刻一刻と、夕日は沈みかけていく。  シラクスの刑場では、セリヌンティウスがすでに十字架に張り付けられていた。 「おい、メロスが来ないぞ! 早く吊るせ!」  と、観衆が騒ぎ立てる。  セリヌンティウスは青ざめた顔で祈っていた。 (メロス、頼むから来るな……! 来るということは、お前が走ったということだ。お前がここへ到着した瞬間、その制動距離の摩擦熱でシラクス市街地は半径五キロが消し炭になるんだ……! 来るな、頼むからそのまま実家で新生活を始めてくれ……!)  その頃、メロスは極限の選択を迫られていた。 「走るべきか、走らざるべきか……。いや、友の命には代えられぬ!  ……セリヌンティウス、許せ! 私は走る!」  メロスは、両足の枷を固定していたボルトを、力任せに引きちぎった。  解き放たれる、マッハ11の肉体。 「うおおおおおーーーっ!!」  メロスが最初の一歩を踏み出した瞬間。 ──ドゴォォォン!!  大気を切り裂く爆音が響き渡り、メロスがいた場所の地面が直径五十メートルの大穴となって爆発した。  周辺の木々は一瞬で衝撃波によりなぎ倒され、川の水はソニックブームによって左右に大きく割れたモーセの十戒のようであった。  メロスは走った。沈みゆく夕日の十倍の速さで。  彼の視界では、景色が完全に静止していた。ただ、自分の身体の周りで、空気が摩擦によって真っ赤に燃え盛っている。 「熱い! 衣服が蒸発していく! だが私は止まらん!」  シラクスの町。 「あ、あれを見ろ! 西の空から、何か恐ろしい流星が降ってくるぞ!」  群衆が指差した先には、文字通り「火の玉」となったメロスが、凄まじい大音響を引き連れて突進してくる姿があった。 「ひえええ! 窓ガラスが全部割れた!」 「看板が飛んでいくー!」  シラクスの町は大パニックである。台風と大地震が同時に来たかのような大災害が、メロスの接近とともに街を襲う。 「セリヌンティウスーーー!!」  マッハ11で叫んだメロスの声は、もはや音声ではなく、ただの「指向性音響兵器」だった。刑場のすべての障子や器が粉々に砕け散る。 「来るなァァァーーー!!」  セリヌンティウスが絶叫したその刹那。  ズサァァァァァァァッ!!  メロスは刑場の真ん中で、全力のブレーキングをかけた。  地面との摩擦で凄まじい火花と黒煙が上がり、刑場全体の温度が急激に四十度ほど上昇した。  熱風が吹き荒れ、群衆は全員、ドミノ倒しのように後ろへ吹き飛ばされた。  煙がゆっくりと晴れていく。 そこには、摩擦で衣服がすべて燃え尽き、完全に全裸の状態で、肌が摩擦熱でこんがりと小麦色に焼けたメロスが、堂々と立っていた。 「ハァ、ハァ……。セリヌンティウス、待たせたな。約束通り、私は戻ったぞ」  十字架に磔られたセリヌンティウスは、衝撃波で鼓膜がキーンと鳴る中、全裸の親友をじっと見つめた。そして、静かに言った。 「メロス……お前、とりあえず服を着ろ。あと、お前が今ここで急ブレーキをかけたせいで、俺の職場の石材工房が風圧で全壊した。弁償しろ」 「それよりもセリヌンティウス! 私を殴れ!  私は道中、一度だけ走るのを躊躇した! 頼むから私を殴ってくれ!」 「嫌だよ! マッハ11の肉体を持ったお前を一般人の俺が殴ったら、反作用で俺の右腕の骨が粉々になるわ!」  防爆シェルターから恐る恐る出てきたディオニス王は、全裸で黒焦げのメロスと、必死に物理法則の正論を唱えるセリヌンティウスの姿を見て、深く感動……というより、完全に恐怖に震えていた。 「わ、分かった! お前たちの勝ちだ!  命だけは助けてやるから、頼むから二人とも、今すぐこの国から『徒歩』で出て行ってくれ! 二度と走るな!」  こうして、メロスは友を救った。  しかし、彼がシラクスに残した経済損失はあまりにも大きく、その後、彼は「走るなメロス」として、世界中のハザードマップにその名を刻むことになったのである。  勇者は、ひたすらゆっくりと歩いた。その全裸の背中に、沈みゆく夕日が優しく、そして少しだけ呆れたように、赤々と照りつけていた。
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作者:河内謙吾
2026/09/26 • 👁 131回 • 💬 2件
恋愛
686文字 約2分で読了

ズルい恋文

「最近、僕の下駄箱にラブレターを仕込んでるヤツがいるみたいなんだ」  放課後の教室で僕がそう言うと、僕の後ろの席に座る君は日誌を書きながら「そう」とだけ呟いた。冷静沈着、興味なさげなその態度にムッとして、僕は学生服の胸ポケットから一枚の封筒を取り出す。  真っ白で少し小ぶりな封筒には、可愛らしく膨らんだハートのシールが貼られていた。宛名はしっかり僕の名前。わざとらしさ満点な愛らしい文字を刻む封筒をヒラヒラ見せつけても、君はやっぱり無反応。  仕方がない。僕はシールを剥がして封を開け、中に入っていた四つ折りの紙切れを広げる。 「ちょっと」  日誌を書いていた君が、やっと僕の方を見た。ニヤッとした笑みが零れるのを誤魔化して、僕は演技めいたデカいため息をついてみせる。 「ここ数日、毎日なんだぜ? 毎回紙切れいっぱいに、僕への愛が書かれているんだよ。よくもまあ飽きないよねえ。どんだけ僕の事が好きなんだか」 「……困っているなら、やめさせれば?」 「ええ? そんな事出来ないよ。だってこんなに僕の事を大好きって言ってくれてるのに、やめさせるなんて可哀想だろう。僕は、この学校を卒業するまでこのラブレターを享受する気だ。別れが来る日まで、目一杯僕を愛して貰うのさ」  そう堂々と笑えば、君はカッと目を見開き……すぐに勢い良く席を立った。 「そういうの、ズルいと思う」  いつもより更にハッキリした声で僕を一刀両断した君は、その後「トイレに行ってくる」と矢継ぎ早に言って教室を出て行った。ああ、いやはや、尻尾を巻いて逃げ出すとは。 「君の方こそ、ズルいんじゃあないの」  僕の呟きなど、真面目で不器用な君はつゆ知らず。
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作者:ころもやぎ
2026/09/26 • 👁 87回 • 💬 0件
SF・ファンタジー
1836文字 約4分で読了

星に願いを

プロローグ  小さな星のかけらはその青い星を見てとても美しいと思いました。 青い空、青い海、そこにたくさんの命がひしめき合って生きているのです。 大気に突入し小さな星のかけらは赤く燃えながら人々の声を聞きました。 たくさんの人々の願い祈り救いを求める声。 小さな星のかけらは消えたくないと思いました。 このまま消えてしまってはせっかく ここまでやってきたのに…この美しい星でたくさんの人々の願いを叶えることができたらどんなに幸せだろうと思いました。 小さな星のかけらは地上に降り立った時、人の子供になっておりました。 人々の願いを叶えるために生まれたのです。 その1  悲しみが胸を押しつぶした。 少しもうまくいかなかった恋。 あの人がもう行ってしまう。このまま別れてしまうのはあまりにも辛い。 誰か私の話を聞いてほしい……そう思いながら家に帰る道、いつもとほんの少し違う道を通ってみたくなった。 こんな道あったっけ……? 古びた民家に『占いやります』と書かれた看板を見つけた。赤い丸の中に七つの角の星。 看板の下の方には『環赫(かくかん)の七芒星』……この占い師さんの店の名前だろうか? なんとなく気になって入ってしまった。 中に入ると男性とも女性とも若いとも年を取っているともわからない人物が椅子の前に座っていた。 「こんにちは」 「こんにちはいらっしゃい」 優しい声でそう語りかけてくれる。 声もまた中性的で一体この人物が男性なのか女性なのか年齢がいくつぐらいなのか判別ができない。どうしよう何を話せばいいんだろう。 「お気楽になさってください。何を話してもいいんですよ。急に占いの相談内容が難しかったら少しお話ししましょう」 その占い師さんは優しい声で語りかけてくれた。 その声にホッとする。気がつけば私は随分と長い間話し込んでいた。 悩んでいた相談内容の話ができるようになったのは店に入ってから1時間以上経ってからだ。 好きだった人が海外に行ってしまう。私は思いを伝えることもできなくってどうすればいいのかわからない。他人から見れば 私の悩みというのは些細なことなのかもしれないけれど ほんのちょっとの勇気が出せずどうすることもできなくって 立ち止まってしまっている、そんな思いを私は話していた。 「あなた自体どうしたいの」 そう聞かれて自分の気持ちと向き合う。 「せめて最後に一言話したいです」 「彼はいつまで日本にいるの」 「明日まで、朝には飛行機で飛び立っちゃう」 「だったら急がないと」 その人は私に包み紙に入った小さな星のかけらのような金平糖を1つ渡してくれた。 「あなたほんのひと欠片の勇気を」 私は店を出て家には帰らず空港へと向かった。 彼がやってくるまで空港で彼の乗る便を待ち続けた。 彼の姿が見えた。 飛行機に乗ってしまう前に…… 私は金平糖を口に放り込んだ。 コロコロと舌の上で転がる小さな星のかけら。 私は彼に駆け寄った。 その2  頑張っても頑張ってもうまくいかない。 私なりに努力はしてきたつもり。 家族はみんなわがままだし、私一人では支えきれない。 どこか遠くに行きたいけれど、どこにも行けない。 ずっとそんな思いを抱えていた。 その店を見つけたのはたまたまだった。 『環赫の七芒星』……占いのお店。 そこのオーナーはとても不思議な人だった。 話しやすい雰囲気を身にまとい、中性的でどこか人ではないような印象を受けた。 気がつけば、わぁわぁと泣きながら家族の話をしていた。 きっと解決策なんてないのかもしれない。 でも話を聞いてくれる人がいるのは初めてかもしれない。 ただただ嬉しかった。 気持ちが落ち着けばオーナーがいっぱいの紅茶を出してくれた。 飲み干せば底にスターアニスが沈んでいた。 ほんの少しスパイシーな味がしたのはこの香辛料 だったのだろう。 店の看板の星のマークにも似て、私の心を落ち着けてくれた。 強くなんてなれない。 きっと 解決法もないかもしれない。 だけど、この人は私の話を聞いてくれた。 相談に乗ってくれる人は他にもいるのかもしれない…… 小さなスターアニスの入った瓶を受け取って私は家に帰った。 明日からまた頑張れる。 少し行政の相談窓口に相談してみよう。 私の言葉を聞いてくれる人がいるかもしれない。 エピローグ  星の子は人になってたくさんの人々の話を聞きました。 たくさんの人々の力になりました。 人々の悩みは尽きることなく 星の子はずっと地上にいるのです。 あぁ、そこのあなた。もし悩みがあるのなら星の子に相談しにいらっしゃい。 『環赫の七芒星』でお待ちしておりますよ。
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作者:しとえ
2026/09/26 • 👁 75回 • 💬 0件
ポエム・詩
116文字 約1分で読了

どこにでもある恋

どこにでもいる 私 どこにでもある恋 どんなサイズの フレームにも収まって この恋が終わったら あなたの中では しまわれて 埃を被ってしまうかも しれないけど。 私にとっては どこにでもあるものだからこそ 大切で。 今更 気がつけたんだ…。 『凡庸フレーム』より
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作者:柊ことは
2026/09/26 • 👁 84回 • 💬 0件
その他
523文字 約2分で読了

凡庸フレーム

 窓辺に一つの額縁が飾ってあった。 この額縁の向こうには心が求めるものが現れるという。  海の音が聞こえる。 額縁の向こうは青い海で、ウミネコたちが鳴いていた。 白い波に白い砂浜。 夏の強い日差しを運んでくれた。  夜の虫の声が聞こえる。 額縁の向こうは綺麗な満月で銀のすすきが輝いていた。夜の静けさを運んでくれて、ざわついた心を鎮めてくれる。  鳥たちの歌う声が聞こえた。 額縁の向こうは夜明けの空で、喜びの朝を鳥たちは祝福していた。不安な気持ちは夜の空に溶け、白い月が輝いている。  街のざわめきが聞こえる。 人々は足早に通りを過ぎてゆく。みんな忙しくて止まっている暇などない。そんな中私は1人足を止め、缶コーヒーを一杯飲み干した。  かすかに花の香りがする。 厳しかった冬が終わり、梅の花がほころび始めていた。 紅色の梅は白い雪の中に小さく、だが鮮やかに咲き初めていたのだ。それは春の訪れを告げていた。  どこにも行けない私は病室のベッドの上。 空っぽの額縁は、私をいろんな世界へと運んでくれる。 心に思い浮かぶ風景が確かに、その空っぽのフレームの中に収まっているのだ。  青い海、金色の満月、夜明けの空、忙しい灰色の都市、梅の花咲く春の始まり。 心をフレームの中に入れて今日もまたそっと飾る。
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作者:しとえ
2026/09/26 • 👁 74回 • 💬 0件
SF・ファンタジー
2585文字 約6分で読了

「異世界転生」

 俺はタカシ。  17歳の高校生だった。  「だった」ってのは、ある日、通学途中で交通事故に遭い、気付いたら奇妙な世界に転生して今は勇者となり旅をしているからだ。  パーティーは魔法使いのカレンに、女剣士のシズ、僧侶のユキというこの上ない美少女に囲まれたハーレム状態。  カレンは内気で気弱だしシズは強気でドジっ子、ユキは意地悪なお姉さんって感じでトホホながらも、この異世界ライフを俺は満喫している。  先日最強の剣と謳われるエクスカリバーを手に入れた俺たちはついに魔王直属四天王討伐に向かうこととなった。 「ここか。最初の四天王ベルフェゴールの城は」  さすが、と言うべきか。無機質な城の放つ重々しい空気は、一帯の重力が変わったのかと錯覚を覚えるほどだ。  だが、俺はこの世界では勇者。無気力で自堕落な高校生だった俺とは違うのだ。怯む訳にはいかない。 「勇者様、ちょっと異様な雰囲気ですね……」  ほうら、カレンがビビってる。杖を握る細い指は明らかに不必要に力んでいる。 「なに? カレン。怖気付いてんの? 私に任せときなって!」  シズが明るく振る舞う時はフラグだ。必ず何かやらかす。 「フフフ。カレン、せっかく強力な魔法覚えたんだからしっかりしないと。防御魔法は私に任せて攻撃に専念しなさい」 「ユキ、ベルフェゴールには万全で挑みたい。回復魔法の余力も残しててくれ」 「あら、勇者様? わたくしを誰だと思って?」  こうして俺たちはベルフェゴールの城に突入した。城内の魔物は存外大したことはなく、目立った損傷も損耗も無いまま、つまり難なく玉座に辿り着いた。  鎮座していたのは人型の魔族。長い黒髪に青白い肌。身長も魔族にしては小さい。見た目は普通の人間だ。しかしその印象がかえって嫌に不気味に思えた。 「お、お前がベルフェゴールだな!」  俺は不安を跳ね返すように叫んだ。数メートル先の魔族はニヤリと口を歪ませるだけで座ったまま何も答えない。俺の声だけが虚しく反響する。 「どうする? タカシ。私が突っ込もうか?」 「いや、待ってくれシズ。嫌な予感がする」 「勇者様。とりあえず牽制の魔法攻撃でも……。この距離なら1秒もかかりません」 「ああ、そうだな。ただ、あの魔法はまだ温存しててくれ」 「カレンと同時に反射防御展開しますわ。確かにこの威圧感は異様です」 「……頼む」 「作戦会議は済んだかー?」  その魔族はまるで子どもを相手取ったようにそう言い放った。その声には威圧の欠片も無く、ニヤリと歪な口のまま。 「さて、勇者よ。少し話そう。二人でだ」 二人で? どういうことだ? タイマンが望みなのか?   俺の逡巡を余所にベルフェゴールの翳した手が鈍く光る。何か来る! 「ユキ!」  防御魔法を! と言いかけた時には背後でドサリと音がしていた。ユキもカレンもシズも、力なく地に伏していた。 「まあ、こんなもんだ。とりあえず座れよ。立ったままでも構わんが」  まさか……死んで……? 「うぉおおおお!!!」  エクスカリバーに全魔力を込める。どんな攻撃魔法だろうと斬り裂くこの剣で切り伏せる!  ━━はずだった。  俺は、倒れている?   いや、倒された?  力が入らない。どこにも。  立てない。指すら、動かない。  熱い。痛い。苦しい。  どうする。何か。手を。  あり得ない。こんなことは。 「なぁ、勇者。お前転生だろ?」  ベルフェゴールの声に思考が凍る。  コイツ、転生を知っている? 「まぁ聞けよ。与太話だ。なんせ俺も転生者だ」  何を言っている。コイツは。 「じゃあ、なぜ、魔王の手先なんかに……」  なんとか首を動かす。ベルフェゴールは変わらずの距離。俺は何歩進めた? 「おお、喋れるのか。でも黙ってていいぞ。それとアレの手先ってのは、まぁ、お前の勘違いだ。オレは魔王を一度倒してる」  コイツは、一体何を言ってるんだ……? 「何を言ってるんだって顔だな。まぁそりゃそうだろうな。さっきも言ったがオレも転生者だ。たぶんお前と同じ日本だが、もう随分昔の話だ。オレが死んだのは2022年だった」 「数年前じゃないか。そんなに変わらない……」 「あら、そうなの? まぁ、ただな。オレはもう何度も転生を繰り返してるんだよ。もう何回世界を救ったか覚えてないくらいに」 「……は?」 「ある時は人間、そして勇者。ある時は魔法使い。ある時は貴族だったり令嬢だったり軍人だったり。ある時はエルフ。ある時は弱小魔族。ある時は魔物。そしてまた人間。なんか動物の時もあった気がするなぁ。なんだっけな。……なぁ、勇者。お前、この世界で魔王倒した後はどうなると考えてる?」 「どうって……ここで暮らしていくんじゃ」 「ああ、元の世界に帰れるなんて妄想してないだけマシだよお前。まぁ実際のところどうなるかなんて分かりゃしねぇさ。実際オレ以外で転生繰り返してるヤツにまだ会ってねぇからな。お前にはちょっとだけ期待したんだが。その感じだと1回目だろ? ああ、失礼、ちょっと一服させてもらうぜ」  タバコ……!? 紙巻きの。懐かしい、不快感。 「あぁ、これな。囲ってる人間に作らせてるんだ。話戻すぞ。この世界に来てからオレはパーティーも組まずに一人で魔王のとこへ乗り込んだんだ。敵じゃねぇさ。魔法の理論体系も体術も軍事レベルも、この世界はあまりに幼稚過ぎて正直引いてる。オレはなぁ、辟易してたんだ。魔王倒して、一頻りチヤホヤされたらまた気を失う。そして次の世界、そしてまた次の世界、だ。だから今回動けなくなったここの魔王にとどめを刺す前に話を持ちかけた。オレを雇えってな。四天王のこのポジションは便利なんだ。なんせ一番にお前らみたいなのが挑んで来るからな。他のやつがやられると、四天王が務まる魔族を探すのもこれがまためんどくせぇ。ここの世界は雑魚しかいねぇからな。かと言ってオレと魔王だけじゃ魔王を先に殺されかねん。そうしたらオレがまた別世界に飛ばされる可能性が出てくる。な? 分かってくれたか?」  コイツ、何がしたいんだ。 「何がしたいんだって? オレが強制的に転生させられてるってことはそれを司る存在がいるってことだ。だからオレは転生者を殺し続ける。そうなりゃきっと、その存在は何かしらの手を打ってくる。なぁ、そう思うだろ? 例えばオレ以上に強くなるまで世界を救い続ける存在を生成するとか」  ああ……そうか。 「もう分かったな。あえてまたなって言っておくよ。転生、出来るといいな」  ━━。 「じゃあ、またな」
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作者:珈琲時間
2026/09/26 • 👁 105回 • 💬 2件
ポエム・詩
85文字 約1分で読了

消えてもいいよ

消えてもいいよもう一回。 『2度目はない』って 言ったよね。 浮気のラインや セオリーなんて どうでもいいの。 私が嫌だって言ったよね。 「もうしない」なんて 信用できるわけないでしょ?
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作者:柊ことは
2026/09/26 • 👁 46回 • 💬 0件
その他
2548文字 約6分で読了

卒業とコンサート

   私はこのきらめきを一生忘れない 「ねえママこのコンサート一緒に行って!こんな機会もう一生ないよ」 そう言って娘は私にスマホの画面を見せる。 憧れのアーティストのコンサート。 それは県内の電車で1時間ぐらいのところで開催される。 「いいわよ……来週の日曜日ね」 「やったーママ大好き!」 中学生と言ってもまだまだ子供だ。 飛び跳ねてはしゃぐ娘の姿を見てその幼さに微笑ましくなった。 ……そういえば私が音華と会ったのは、ちょうどこのぐらいの年齢の時だった。 中学になれば小学校よりも校区が広くなり今まで出会った事がなかった子とクラスメイトになる。 中学1年生の1学期それぞれ初めての自己紹介。 彼女はとても明るい性格で初めての自己紹介の時からとても弾んで楽しそうに自分が好きなもののことを話していた。 音楽が好きな事、ダンスも好きだということ。 確かそんな話をしていたと思う。 彼女の弾んだ声を聞きながら なんとなく私は仲良くなれるような気がした。 私が話したのは確か音楽に興味があること、好きなミュージシャンについて。 放課後、話しかけてきたのは彼女の方からだったと思う。 「ねぇ、彩音ちゃんって呼んでいい?」 まっすぐに目を覗き込んで、それもキラキラした目で彼女はそう言った。 「う、うん」 私は彼女のペースに巻き込まれてしまった。 途中まで、帰り道は一緒だったから2人で話しながら帰った。 それはその日を境に、毎日の日課となった。 中学になって初めての日曜日彼女と遊ぶ約束をした。 私の家で 一緒に好きなミュージシャンの話をしたり、一緒に音楽をやりたいという話をした。 私の方はあくまで希望、夢を語っただけのつもりだったが…彼女は大真面目に本当に計画を立てて実行しようとしていた。 週明けにクラブの同好会を作りたいと先生に相談していたのだ。 「一緒にやろうよアイドル部!」 「う、うん」 アイドル部とはイベントなんかで歌ったり踊ったりしてアイドルの真似事をするクラブだ。 彼女の熱量に押し切られさらには先生も巻き込んで翌週には愛好会を結成! メンバーは始め私と彼女だけだった、2人のユニット。 それで二人でダンスとか歌とかの練習をした。 私は文化祭ででも2人でちょっとだけ発表するだけのつもりだったが……彼女はそうじゃなかった。1ヶ月後、地元のイベントに申し込んで2人で出ることになったのだ。 それはちょっとした話題になった。 地元の広報誌に掲載され中学生アイドル誕生!と書かれた。 あっという間に中学で有名人。 同好会には自分も入りたいという子達が殺到。 私たち2人だったメンバーはあっという間に30人にも増え同好会からクラブになり顧問の先生もついた。 「ねえ、次はせっかくだから私たちの曲を考えようよ!」 「う…うん」 私は彼女の勢いに押されるまま2人で作詞作曲することになった。 2人ともそんなことは初めてのことだ。 なんとか見よう見まねで曲と歌詞を作る。 初めての2人のデビュー曲…と言ってもいいだろう。 イベントの申し込みは2学期になってから向こうからやってくるようになった。 衣装も始めは それっぽいのにちょっとだけ飾りをつけていただけだけど、自分たちでお揃いのものを用意して舞台に立つことになる。 センターは私と彼女。 だけど明らかに目立っていて、みんなが注目するのはやはり彼女なのだ。 私はちょっと気が引けていた。 その頃になると裁縫や舞台美術なんかが得意な子も入部していて裏方をやりたがる子も結構多かった。 2学期の文化祭は大盛り上がり。 私としては 文化祭にちょっと出るだけのつもりだったのにとんでもないパフォーマンスになっていた。 2学期が終わり3学期になってもイベントの申し込みや私たちの舞台は続いた。 私たちはすっかり人気者……というより彼女がすっかり人気者になったわけだけ相変わらず2人で毎日手をつないで帰った。 それがとても嬉しかったけれど1学期の時よりも彼女と距離ができてしまったような気がした。  私たちは2年になった。 アイドル部に入部したいという子が今年もたくさんやってきた。 みんなみんな音華に憧れている。 ……まあ中には私に憧れてる子もいたことはいたっけ。 だけど憧れの音華の隣にいる私のことよく思わない子もたくさんいた。 なんとなく彼女と仲良くすることに罪悪感のようなものが芽生えていた。 私は彼女のことが大好きだったのに…… 活動の幅はさらに広がっていた。 あっちこっちのフェスティバルに行ったり、インタビューに答えたり。 メンバーは私と彼女の ユニットとそれ以外の私も彼女もいるグループ 別の子だけのグループなどクラブ内でもその種類がどんどん増えていった。 秋が来てまた文化祭になりそして冬が来て1年が過ぎた。 中学3年生になった1学期、私は彼女に言った。 「私アイドル部やめるから。もう受験だし……」 「うんそうだね……」 彼女が明らかにショックで悲しんでいるのは分かっている。 その日私は退部届を出した。 彼女と手を繋いで帰ることもなくなった。  彼女は文化祭までやりきってからのクラブの引退だった。 彼女という華をなくしたクラブはすっかり活気がなくなってしまった。 やがて3学期になり高校受験が終わり卒業式の前夜、 彼女から電話がかかってきた。 明日の卒業式の後 一緒に歌おう? 「……どうしたの急に」 「私は彩音ちゃんのことが好きだよ。一緒にアイドル部やれてすごく楽しかった。だからちゃんと最後にみんなの前で歌ってお別れしようよ。文化祭の衣装、彩音ちゃんの分も用意してあったんだ。最後にみんなの前で歌おう?」 突然の申し出に私はどうしていいかわからなかった。 だけど私だって、このままおしまいにするのは悲しい。 「いいよ」 私がそう言うと電話越しに彼女の声はパッと明るくなる。 「本当?すぐにそっちに行くから!」 2人で一緒に歌う曲を決めて、振り付けは2年生の文化祭にした時のだけど……  卒業式の謝恩会。 私はこのきらめきを一生忘れない。  卒業して私たちは別々の高校へ、彼女はその後音楽の道に進み今やすっかり日本を代表するアーティストだ。 私はと言うと普通に高校を卒業して大学を卒業して就職して、やがて結婚して今は中学生の娘がいる。  娘とコンサートに行く日がやってきた。 ステージには音華の名前と姿。 キラキラと輝いて今も人々を魅了し続ける。
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作者:しとえ
2026/09/26 • 👁 57回 • 💬 0件
コメディ・日常
718文字 約2分で読了

父のレコード

 亡くなった父の遺品を整理する。 たくさんの本、いくつもの美しいジャケットのレコード盤、しゃれたレコードプレーヤー。ちょっと今では手に入らない品だ。 いや、この形は蓄音機といった方がふさわしいのかもしれない。 錆びついたラッパのような形の部分は何というのだろうか。 もっとも、レコードプレーヤーと蓄音機の違いなど私には分からないのだが。 衣服や使い古した日用品なんかは処分することはできても、そこにあった品々に父の心が宿っているようで私は処分するのをためらった。 それでも愛好家の方にお譲りできればとフリマアプリで手放したものもあるがどうしてもやはり手放せないものはあった。 このレコードプレーヤーはまだ使えるだろうか。 一応 専門店に電話して 壊れてないかを見てもらう、やはり修理が必要な部分はあって久しぶりに家に帰ってきたレコードプレーヤーを見て父が帰ってきたような気分になった。  父の本棚から1枚のレコードを取り出しそっとレコードプレーヤーの上に置く。 私はそっと針を落とした。 ノイズの入ったメロディーはまるで川の流れの音に似ている。 このノイズの寂れた音が私は好きだった。 子供の頃、父の書斎からよく流れてきた音だ。 ノイズの入ったメロディーを雑音まじりと判断するか、それとも美しく情緒的な音だと判断するかは 個人の感性の違いだと思う。 父はその音を愛していた。 音楽はレコード という川の水に溶け、ノイズと混ざり合いながら私たちの耳に聞こえる。 それはまるで自然の川の流れのように溶け込み合い 一つの景色を作っているのだ。 書斎の父、うたたかな光の中で仕事をする父の姿が思い浮かぶ。 「おかえり」 レコードプレーヤーにそっと手を当てる。 そこに宿る父の魂が、帰ってきたと思った。
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作者:しとえ
2026/09/26 • 👁 64回 • 💬 0件
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雨とカラス

 曇天の空を見上げれば降ってくる雨粒は黒く見えた。 まるでこの世界を塗りつぶしていくようだ。 友人の死を知ったのは昨日、残念ながら葬式には間に合わなかった。 喪服代わりの黒い服は雨に濡れてますます黒くなる。 こんなに早く別れが来るなんて思わなかった。 自分と歳の変わらない友人はきっと自分と同じぐらいの命を持っていると思っていた。 誰もいない墓地を言葉もなく去ってゆく。 濡れて冷え切った体は悲しみに追い打ちをかけるようだった。  最後にあったのはいつだったか。 いまいち思い出せないのだがおそらくは学生時代を最後にもう会っていないのだろう。 側石の上を歩いて行く友人の姿がまぶたに浮かんだ。 軽い足取りで両手を広げてフラフラと… どこかそのまま飛んで行ってしまいそうなそんな雰囲気が絶えず友人にはあった。  歩いていればカラスの鳴き声が聞こえる。 お供え物を狙ってやってきたのだろう。 カラスは困った鳥だが同時に陽気な鳥でもあると思う。 黒い体は闇のようで、だがどこにでもやってきて貪欲に食べ物をさらって気ままに生きている。 ゴミ捨て場を荒らし…昔は墓地も荒らしていたのだろう死肉を喰らいながら。 嫌われ者だが生きていく力の強い鳥だ。 僕が供えた果物を加えて飛んで行った。 屋根の上にとまりぴょんぴょんと飛び跳ねるその姿は、僕には笑っているかのようで ちょっとだけ腹立たしい。 だが友人はきっとそんなことでは怒らないだろう。 鳥が好きだった……  今頃あいつの魂も鳥になって飛んで行ったのかもしれないとふと思った。 だとしたらあのカラスは友人を迎えに来たのだろうか。 鳥の世界は自由気ままだ。 雨に濡れたってきっと飛んで行ける。 その強い翼を武器に。  コンビニに入ろうとして、ずぶ濡れで少し気が引けた。 ハンカチで軽く体を拭くと中に入る。 世界は雨に濡れていつもよりほんの少し暗い色になる。 色をなくし薄暗いモノクロの映画の様だ。 申し訳ないと思いながらお茶と弁当買い、雨が上がるまでコンビニの中で待つ。 やがて小降りになり、ほんの少し雲の間から青空が見えた。  外に出れば 水たまりがキラキラと光を反射している。 青い空から光が差し、色のない世界に再び色が戻ってきた。 それは雨に現れて新しく生まれ変わった世界の様だった。 飛んで行くカラスの姿が見えた。  この世界で、あいつもまた飛んで行ってたのかもしれないと思う。
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作者:しとえ
2026/09/26 • 👁 55回 • 💬 0件