その他
雨とカラス
965文字
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曇天の空を見上げれば降ってくる雨粒は黒く見えた。
まるでこの世界を塗りつぶしていくようだ。
友人の死を知ったのは昨日、残念ながら葬式には間に合わなかった。
喪服代わりの黒い服は雨に濡れてますます黒くなる。
こんなに早く別れが来るなんて思わなかった。
自分と歳の変わらない友人はきっと自分と同じぐらいの命を持っていると思っていた。
誰もいない墓地を言葉もなく去ってゆく。
濡れて冷え切った体は悲しみに追い打ちをかけるようだった。
最後にあったのはいつだったか。
いまいち思い出せないのだがおそらくは学生時代を最後にもう会っていないのだろう。
側石の上を歩いて行く友人の姿がまぶたに浮かんだ。
軽い足取りで両手を広げてフラフラと…
どこかそのまま飛んで行ってしまいそうなそんな雰囲気が絶えず友人にはあった。
歩いていればカラスの鳴き声が聞こえる。
お供え物を狙ってやってきたのだろう。
カラスは困った鳥だが同時に陽気な鳥でもあると思う。
黒い体は闇のようで、だがどこにでもやってきて貪欲に食べ物をさらって気ままに生きている。
ゴミ捨て場を荒らし…昔は墓地も荒らしていたのだろう死肉を喰らいながら。
嫌われ者だが生きていく力の強い鳥だ。
僕が供えた果物を加えて飛んで行った。
屋根の上にとまりぴょんぴょんと飛び跳ねるその姿は、僕には笑っているかのようで ちょっとだけ腹立たしい。
だが友人はきっとそんなことでは怒らないだろう。
鳥が好きだった……
今頃あいつの魂も鳥になって飛んで行ったのかもしれないとふと思った。
だとしたらあのカラスは友人を迎えに来たのだろうか。
鳥の世界は自由気ままだ。
雨に濡れたってきっと飛んで行ける。
その強い翼を武器に。
コンビニに入ろうとして、ずぶ濡れで少し気が引けた。
ハンカチで軽く体を拭くと中に入る。
世界は雨に濡れていつもよりほんの少し暗い色になる。
色をなくし薄暗いモノクロの映画の様だ。
申し訳ないと思いながらお茶と弁当買い、雨が上がるまでコンビニの中で待つ。
やがて小降りになり、ほんの少し雲の間から青空が見えた。
外に出れば 水たまりがキラキラと光を反射している。
青い空から光が差し、色のない世界に再び色が戻ってきた。
それは雨に現れて新しく生まれ変わった世界の様だった。
飛んで行くカラスの姿が見えた。
この世界で、あいつもまた飛んで行ってたのかもしれないと思う。
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