有賀慧 / 五百年とか言われたんじゃが
我は、旅の聖女と呼ばれている。請われて癒やしの技を使うだけだがの。「娘の病が治りました」「畑がみるみる元気に」これが村人にはすごく喜ばれる。「さすがは女神さまの愛し子ですね」称賛に...
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我は、旅の聖女と呼ばれている。請われて癒やしの技を使うだけだがの。「娘の病が治りました」「畑がみるみる元気に」これが村人にはすごく喜ばれる。「さすがは女神さまの愛し子ですね」称賛に...
この地の長雨はひと月に及ぶ。いつまで降るのやら。「気づいたか、間もなくノアの大洪水の記録に並ぶ」さすれば師よ!「うむ、ヒト族の天下は終わり、我らカエル族の天下なり」ゲーコゲコとふた...
「そなたの拷問がいかに苛烈でも」かの姫騎士は気高くも言い張りました。「わらわが屈することはない」いま彼女が漏らすのは甘い吐息と微かな喘ぎ。「帝国の妓女め……んあっ!」肢体が跳ねる様も...
冒険が終わっての酒場は命の洗濯よ。相方の姫騎士が声を張り上げる。「蜂蜜酒持ってきて!」「ちゃんと肴も注文しなよ」「貴女の腕じゃだめか?」戦士の力こぶをつつきながらのズルい上目遣い。...
私は先見の勇者。初探索のダンジョンの特徴も、初見の怪物の弱点も、全部お見通し。小娘でも輝金級冒険者を名乗れる異能には、実は秘密がある。「ねえ、隠し部屋はこの奥?」私のひとり言に耳の...
魔王は信を重んじ義に篤い者である。神に棄てられた民をまとめ、王道楽土を敷かんと志した。約定は守れ、破る者と同じ天は戴けぬ。道理には従え、背く者と境は隣合えぬ。潔癖な理想は、しかし、...
王国の賢者達は額を寄せて相談していた。代々の勇者は男なのに、こたび託宣を受けたのは女という。勇者と認めるか否か。紛糾する議論に若手の俊英が手を挙げた。「見極めてきましょう」ひと月後...
聖女たる者、神への祈りは日課です。 聖句を唱えていると、快活な声で呼ばれました。「一緒に祈っていい?」私が頷くと、勇者様は隣で聖句を口にされます。祈りが済んだ後、何を神に願われたか...
女でも剣に生きる者に社交は不要だ。 なのに勇者一行なだけで、着飾ったウチをお嬢様達が褒めそやす。「見違えて綺麗だよ」「動きにくいからやだ」勇者の言葉に眉をしかめたら、手を差し出され...
目が覚めたら、私はおんぶで運ばれていた。すっと伸びた背に締まった体つきから、誰だかすぐわかる。「勇者様、下ろして」じたばたすると苦笑いで返された。「魔女の力を使い切ったんだ、しばら...