恋愛
恋愛否定論
1,273文字
約3分で読了
「私は放課後 決まってこのベンチに座って
小説や漫画など 本を読む事にしている」
「雑食性で どのジャンルもわりと分け隔てなく読む私だけど
恋愛小説やラブコメ漫画
いわゆる『恋愛モノ』だけは どうしても苦手だ」
「と 言うのもだ」
「大抵の恋愛モノの終着点は 主人公の男ないし女が
好きな異性と結ばれる」
「ここを終着点にしているものが多いと思う」
「けれど」
「好きだと自分の気持ちがハッキリしているのに
告白するのに 何を一体 そんなに時間をかけたり
ウジウジと悩む必要があるのだろうか?」
「恋愛小説やラブコメ漫画は
その過程を楽しむものだとは 理解はしているのだけど」
「『いいからさっさと告白してしまえ!』」
「どうしても そう思わずにはいられないのである」
「だから私は 恋愛モノの作品がどうにも苦手だ」
「加えて言うのならば 結局 誰と誰がくっ付くのかなんて
当然 すべて作者が決めているわけだ」
「あらかじめ 決まったレールに沿って
ただ 主人公と登場人物がくっ付くだけ」
「端的に言えば ただそれだけのお話を
どうして 他の人が面白がって読めるのか」
「それが 私にはどうにも理解出来ない」
「とにかく『分かったから さっさと告白してしまえ!』」
「結局は ここに行き着くのである」
と そんな事を考えていると
(あ… 黒瀬君…)
ベンチで本を読む私の前を 黒瀬君が走り抜けていった
(黒瀬君… 今日もカッコいいな…)
胸の鼓動が一際 高鳴る
何を隠そう 私が放課後この場所で本を読むのは
運動部の黒瀬君が 毎日 決まってここを
部活のトレーニングのランニングで走るからである
私は黒瀬君の事が好きなのだ
いつもこうして 放課後に走る彼を眺めるのが
たまらなく幸せなのである
トレーニングを一生懸命 頑張ってる姿はとても素敵で
それを見られる私はとても幸福だと思う
この毎日が日課になるほど
私は随分前から彼の事が好きなのだけど
何度も告白しようと思ったけれど
どうしても勇気が出ず 告白出来ない
『断られたらどうしよう…』
そう考えると その一歩を踏み出せない
もし 告白して断られでもしたら
こうして 毎日 ここで本を読みながら彼の姿を眺める事だって
きっと 出来なくなってしまう…
それは たまらなくイヤだ!
なら やはり告白などせずに こうして自分だけの特等席で
ずっと 頑張る彼の姿を見つめていた方が幸せなんじゃないか?
そう思ってしまう
そうは思ってはいるのだけど…
でもやっぱり 好きなものは好きなわけで
『告白して上手くいくのなら 告白してしまいたい!』
そう思っている自分もいる
いやいや…
でもやっぱり 告白して失敗でもしたら…
日々 頭の中をぐるぐると
そんな事を何度も堂々巡りで考えてしまう
で 結局は告白なんて出来ず
今日も今日とて 部活のトレーニングで走る彼を眺めては
切ないため息をつくのだった
……
…
ええと? なんの話だっけ?
「そうそう 恋愛モノの作品の話だった」
「主人公がウジウジ悩んでるのを見ると だ」
「『一体 何をそんなに悩む必要があるのか』」
「『好きなら さっさと告白しろ!』」
「先にも述べた通り
どうにも私には どうしてもこう思えてしまうのだ」
「だから私は 恋愛モノは苦手なのである」
はぁ…
それにしても 黒瀬君 カッコいいなぁ…
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