コメディ・日常

早春の食卓

574文字 約2分で読了
作者:しとえ
 空の色が変わってきたような気がする。 家事を一段落した私は娘を連れて散歩に出かけた。 穏やかな風を感じながら少しずつ季節が春に近づいていくのを感じる。 神社の前を通りかかると甘い匂いがした。 「ママ、いい匂い」 見上げると小さな白い梅の花が咲いている。 春の訪れがほんの少しずつやってきたのだ。 「いい匂いだね」 そう言うと私は神社に一礼し手を合わせた。 鳥居をくぐることなくそのまま神社の前の道を歩いて行く。 ホー、ホッケキョーとウグイスが私たちを見送ってくれる。  田んぼのあぜ道を歩いて行く。 「ママ見て見てつくし」 娘が嬉しそうにそう言った。 「本当だ。つくし摘みしようか」 そう言うと娘がパッと嬉しそうな表情を浮かべる。 「私、いっぱい取る!」 娘はニコニコ笑いながら夢中でつくしを摘み始める。 ふと見ると、小さなふきのとうも顔を出している。 そうだ、これも摘んで帰ろう。  家に帰れば娘と一緒につくしの袴取り。 そういえば子供の頃つくしをいっぱい持って帰って、母と一緒に袴取りをしたな。 懐かしい子供の頃の思い出。 私が料理をするのを娘は興味津々で覗き込んでいる。 食卓に並ぶつくしの卵とじと、ふきのとうの天ぷら。 春に彩られた食卓はいつもよりほんの少し楽しい。 「ママ、つくしちょっと苦いね!」 つくしの卵とじを口に頬張りながら、それでもご機嫌のニコニコ笑顔の娘。  春の訪れを心からかみしめた。
2026/10/14 ・ 👁️ 47回 ・ 💬 0件

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