SF・ファンタジー
魔族とアンドロイド
699文字
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その日、偶然魔族の男と機械仕掛けの男が道端で再会した。
「おうおう、こりゃまた久方ぶりじゃのお、機械男」
「こんにちは、魔界の方。こんな場所で顔を合わせるとは思っても見ませんでした。近頃は秋風も涼しさを大きく増し、冬の気配が致します。いかがお過ごしですか」
「おう、ワシはここ数年人間の女を一匹囲っていたが、昨日逃げ出しおってな。その時ついつい髪を切り刻んでしまった。ううむ、本当に惜しいことをした。アイツの長い髪はめっぽう美しかったのに。それで、今から女の家族に切った髪を届けに行くのじゃ。ワシが直々に娘の一部を渡しに行ってやるのだから、家族はさぞ喜ぶだろう」
「それはそれは、とても良いご予定でございますね。話を聞いていて、私は貴方が女性の家族を思いやれる素敵な方だと認識しました」
「で、お主はどうじゃ、相変わらずか」
「ええ、はい、私は相変わらずですとも。しかし、私の家族プログラムに組み込まれている二十六番目の娘がどうも不調でして。今から私はその娘の電気脳回路を修理しに行かねばならぬのです。早くプログラムを修繕しなくては、計画に支障が出ますので」
「だからそんなに大荷物なのか。お主も大変じゃのう」
「ええ、大変です。お互いに」
荷物を抱えた二人は努めて笑顔だったが、そこに人間らしい温度はなかった。道徳を知らぬ野蛮さと、金属パーツの冷ややかさだけが漂っている。
「さて、そろそろ行くとしよう。機械男、達者でな」
「はい。是非またお会い致しましょう」
機械仕掛けの男が丁寧な礼をするのと同時に、魔族の男が歩き出す。やがて互いに大きく距離が生まれ始めた時、二人は小さく呟くのだった。
「ああ、本当に理解が出来ない」
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