SF・ファンタジー

愚鈍な自動人形

1,098文字 約3分で読了
作者:lue
前々から製作していたロボットが 遂に完成した このロボットは ずばり 愛をエネルギー源とする事で動き出すのだ 愛情を注ぐ事で起動し そして稼働する 設計の都合上 エネルギーを蓄えるスペースを あまり割けなかったのが難点だが 沢山の愛を全力で注ぐので 補充に関しては問題ない ロボットは 青写真に描いた通りに 見事な動きをしてくれた 想像以上によく動くもんだから 嬉しくて さらに深く愛を注ぐ事になる それに応えて ロボットはさらに動く 見事な好循環 制作者も大満足 長い事 稼働させていると さすがに傷んでくる箇所も出てきた その度にめげずに 直して 直して ロボットは懸命に 順調に稼働を続けた ところが 日々使ううちに どうも稼働当初より 動きが鈍っている様子 おかしいな… 整備は万全 エネルギーなら 今も昔も溢れてる 設計した本人だけが気付くような 僅かな動きの鈍りが 次第に日を追うごと 緩やかに 緩やかに けれども どんどんと鈍化を続けた どこで計算が違うのか 解らない 堪りかねて 町一番の修理屋さんに診てもらう事にする おヒゲの立派な 町一番の修理屋さんのお爺さんは そのロボットを 皺を深めながらゆっくりと見て回る そしてしばし 深く考え込んだあと こう言い始める 曰く このロボットは本当によく出来ている 設計が素晴らしいのは勿論 組み立ても見事だ そして手入れもしっかりとなされており 作った人の愛を感じる どこも壊れてはいないし 今も稼働当初と同じように動くだろう と 「そんなはずはない!」 修理屋さんのお爺さんの前で動かしてみた ほらっ こんなにも動きが鈍いよ お爺さんは ヒゲを触りながら また深く考え込んだ後に ゆっくりとこう告げる 供給するエネルギーに問題があるのだろう と ええっ 納得がいかない こんなに沢山注いでる 今だって ホラッ! 一度 大きく溜め息をつき 優しく諭すような表情で 修理屋さんのお爺さんはこう返す 設計した当初とは 愛の質が違うんだろう って 作って動かそうと頑張り エネルギーに満ちていた 動かして 一緒に過ごすうち 量は問題ない が 構成要素が違うそうだ 「愛にも色々あるからのぉ」 そう言われたって… ピンと来ない なんか釈然としない 直してくれよと伝えたかったが 今日はもう店閉まいだと言って 追い返されてしまう 動きの鈍くなったロボットを引き摺って とぼとぼと工房へと退散する羽目になる それから 色々と手を施してはみた 前以上に念を入れて修理したし 愛だってたっぷり注いだ けれど最後には ロボットはもう動く事すらなくなり 役目を終える事になる 結局 考えてみても答えは分からず 故障した理由も理解しないままに 居ても立っても居られずに 次のロボットの製作に着手するのでした (彼の 動かないロボットコレクションは こうして また一体増えるのでした 不本意にも)
2026/10/20 ・ 👁️ 27回 ・ 💬 0件

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