恋愛

さよなら、ハッピーエンド

693文字 約2分で読了
作者:綴
愛していた。本気だった。 なのに……どうしてこんなことになってしまったんだろう。 暗い夜のベンチに、私は一人で座っていた。 雪がひらひらと舞う。 嫌になるくらい、ベンチ横の街灯が明るい。 かじかむ手を、もう、誰も握ってくれない。 あの人がいたときは、ずっと冷たくなかった。 指がひび割れて血が滲む痛さも、外の凍えそうな寒さも。ずっと知らなかった。 手を繋いで帰ってくれた昼のこと。 「寒い?」と上着をかけてくれた夜のこと。 寒かった日もたくさんあったはずなのに、寒かったと覚えている日はなかった。 たくさん笑って過ごしてきたはずなのに、どうして彼の隣は私じゃないの? 浮気をされたのなら、まだ諦められた。 相手が悪かったなって責めることもできたのに。 それすら貴方はさせてくれない。 私が悪かったなら、責めてくれたって良かった。 でも、貴方は最後までそうじゃなかった。 「ごめん」ってそれだけ言って。 最後まで、優しかった。 貴方がいなくなった。 もう二度と、私の隣には戻ってこない。 それだけで、私はこんなにも胸に穴が空いたように痛むのに。 ……酷い人。 スマホと財布以外、何も持たずに飛び出してきてしまった。 どうしたらいい? これから、どうすればいいの。 俯くと、ポケットから指輪が溢れ落ちた。 これは、あの人から貰った大切な…… ううん、もう要らない。 だって、もう終わったんだから。 私は地面に落ちた指輪を拾う。 川に投げ捨てようとして振りかぶったまま、腕を振り下ろすことができない。 「…………っ」 背中が冷えて痛む。 雪が冷たい。 お願い……早く、迎えに来てよ。 前が見えなくなるほどに、視界が濡れた。 私はギュッと、両手で指輪を強く握りしめた。
2026/10/10 ・ 👁️ 21回 ・ 💬 0件

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