コメディ・日常

犬カフェ

469文字 約1分で読了
作者:さくら
東北地方にある老舗の犬カフェを訪れた。 ​ 創業数百年とも伝わるその店は、この地方でも屈指の人気を誇る。暖簾をくぐり座敷に通されると、期待で胸が高鳴った。 ​ 席に着いた瞬間から、圧倒的な体験が始まる。 スタッフの威勢のよい独特の掛け声とともに、次から次へと犬が差し出される。撫で終える間もなく別の犬が目の前に用意され、間髪入れずにモフり放題の状態が続いた。 熟練のスタッフによる息の合った手際によって、途切れることなく愛くるしい毛並みに包まれる時間は、まさに至福だった。 ​限界までモフり欲を満たし、こちらが満足の意を示すと、スタッフは心得たように、小さな椀を一つ運んできた。 ​蓋を開けると、一口分の蕎麦が入っている。​お腹を満たすにはほど遠い量だ。一啜りで食べ終えて、お椀の蓋をカチャンと閉じた。 ​お会計の際、素朴な疑問をスタッフに投げかけてみた。 「なぜ最後に一口だけ蕎麦を食べるんですか?」 ​「さあ……、創業当時から続く習わしとしか聞いておらず、詳しい理由は私たちも分からないんです」 ​首をかしげるスタッフに見送られ、ワンコそばの名店を後にした。
2026/10/17 ・ 👁️ 26回 ・ 💬 0件

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