コメディ・日常
犬カフェ
469文字
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東北地方にある老舗の犬カフェを訪れた。
創業数百年とも伝わるその店は、この地方でも屈指の人気を誇る。暖簾をくぐり座敷に通されると、期待で胸が高鳴った。
席に着いた瞬間から、圧倒的な体験が始まる。
スタッフの威勢のよい独特の掛け声とともに、次から次へと犬が差し出される。撫で終える間もなく別の犬が目の前に用意され、間髪入れずにモフり放題の状態が続いた。
熟練のスタッフによる息の合った手際によって、途切れることなく愛くるしい毛並みに包まれる時間は、まさに至福だった。
限界までモフり欲を満たし、こちらが満足の意を示すと、スタッフは心得たように、小さな椀を一つ運んできた。
蓋を開けると、一口分の蕎麦が入っている。お腹を満たすにはほど遠い量だ。一啜りで食べ終えて、お椀の蓋をカチャンと閉じた。
お会計の際、素朴な疑問をスタッフに投げかけてみた。
「なぜ最後に一口だけ蕎麦を食べるんですか?」
「さあ……、創業当時から続く習わしとしか聞いておらず、詳しい理由は私たちも分からないんです」
首をかしげるスタッフに見送られ、ワンコそばの名店を後にした。
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