コメディ・日常
巣戻り
485文字
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久しぶりに降り立った地元の駅の周りは、雰囲気が大きく変わっていた。ホームからは大型ショッピングモールや数棟のタワーマンションが見え、昔は人影もまばらだった駅構内も賑わっている。変わった景色に落ち着かない私は、そそくさと改札を出て、待ち合わせ場所の南口に歩みを進めた。
ホームから見えていた北口とは違い、見慣れた街並みのままの南口は、私をあたたかく迎え入れてくれる。それでもあらためて振り返り、あんぐりと口を開けていると、「こっちこっち!」と馴染みのある声が聞こえてきた。振り向いた視線の先には母がいたが、前に帰省したときよりも顔のシワが増えている気がする。そして、母の傍らには透き通ったこどものペンギンがいた。あんぐりと口を開けたままの私を見て笑っている。そのとき懐かしい音楽が駅前に響き渡った。
歩き出すこどものペンギン。歩き出す私。私たちはすれ違い、母のもとへとたどり着く。母は私を前に「長旅、お疲れさま」と、頬を緩ませながら伝えてくれる。それなのに私はまた振り返る。その先に抱き合ったペンギンの親子像が見えたから、お土産を持ったまま、私はこどものペンギンになっていた。
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