その他
恋は、お熱く
602文字
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「たまには、あなたから注いでくれてもいいのよ? ふふ。冷たいんだから」
グラスを傾け、あなたと交わす他愛のない会話。この時間が一番幸せでいられる。
「課長が新人に優しいのはいんだけどさ。その分の負担は誰がやるんですかって話」
あなたが居てくれるようになって十日。職場の愚痴も、嫌な顔一つしないで聞いてくれるクールさが好き。もっと早く出会いたかった。
酔った目をして私を見つめるあなた。ああ、食事なんて冷めたっていい。今すぐ抱かれたいと|欲《ほっ》してしまう。
「ちょっと熱い? 窓開けよっか」
席を立ちベランダの窓を開ける。晴海ふ頭を一望できる高層マンションは、夜風の通りも良く換気が簡単だ。あなたが買ってくれたこの部屋も、お互い気に入ったこの眺めも。ずっと、ずっと二人だけの物。
あなたの後ろへ回り肩口に手を伸ばす。そのまま抱き締めると、あなたの耳が私の火照った頬に当たり心地いい。
もう無理。テーブルを押し退け、あなたの足を|跨《また》ぎ向かい合う。覆いかぶさるように私から口づけると、あなたの舌がズルリと私の口に入ってくる。
ああ。熱い。
脳が快感に震え、両手であなたの頭を抱え込む。すっかり血の乾いた後頭部。そこに空いた傷口を愛撫する。
「もう帰るなんて言わないでね。奥さんの事は忘れて、私だけを見て」
身も心も上気して、私は息を荒くシャツを脱いだ。虚ろに見上げるあなたの瞳に舌を這わせ、私は絶頂に達した。
〈恋は、お熱く 終〉
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