ミステリー・サスペンス
二時間半の移動?
831文字
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「はぁ……どうやって、別れよう」
私はコーヒーカップを口に付けたまま、友人に相談する。
「じゃあ、練習する?」
友人はいつも通り、軽い口調で返事をした。
「いいの?」
「もちろん」
私は背筋を伸ばして、意を決して言う。
「ねぇ……別れてほしいんだけど……」
「なんで?」
「ちょっと……他に好きな人ができた」
「知ってるよ。でも、あなたは私のこと好きだよね?」
目が丸くなった。
「いや、これは言う練習だよ?」
友人は私の目をまっすぐ見て答える。
「でも、彼女は何言うかわからないよ?」
友人がレモネードを飲みながら言う。
確かに。
「そもそも、あなた彼女のこと大好きでしょ」
「まぁね……でも遠距離だし」
「なに言ってんの。たったの片道二時間半じゃん」
「でも、頻繁に会えないし……寂しい」
友人は明らかに冷めた目で私を見る。
私がわがままなのは分かっている。
「はぁ……まぁいいや……付き合ってられない。私は帰るよ」
「うん、ありがとう。また何かあったら連絡するね」
ふぅ……。
鍵を開けて、ヒールを脱いで、家に入る。
あれ? 今日は彼女との電話のはずなのに、電話が来ない。
私から電話しようかな。
……と思ったところで、着信が鳴った。
私は電話に出た。
「もしもし?」
「もしもし、今大丈夫だった?」
「うん」
「電話に出てくれてありがとね、いつもより遅くなっちゃって」
「大丈夫だよ、どうしたの?」
「あ、ごめんね。お風呂上りで髪を乾かしてて。そろそろ美容院行こうかな?」
何気ない会話が続く。
お昼の出来事が、かすかに脳裏をかすめる。
今だ。
「ねぇ……別れてほしいんだけど……」
「……なんで?」
想定内……想定内……。
呼吸を整えて、私は言う。
「ちょっと……他に好きな人ができた」
「知ってるよ。でも、あなたは私のこと好きだよね?」
「あれ? あなたの好きな飲み物なんだっけ?」
何も考えずに言葉が出た。
「レモネードだって言ったら、あなたはどうする?」
その言い方は、昼に聞いたのとまったく同じだった。
問い
あなたは、この人たちをどう思いましたか?
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