その他
独りでも大丈夫
620文字
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まだ人混みに内臓をかき乱されるけど。
まだ理由のない涙が止まらない時があるけど。
私はもう独りでも大丈夫。
人と上手く話せない。人が当たり前にできることができない。
こんなこと言ったら怒られるだろうけど、もっと社会で生きていくのが中途半端じゃなく下手だったら、早く気付けたのにね。
社会の輪から外れてしばらく。
大切なはずのあなたの言葉すら、怖くて。
本当に大切なのかすら分からなくなって、私は都合良くお布団の中に逃げてしまった。
「ちょっと散歩しない?」
「こういう施設があるらしいよ」
しっかり言葉とタイミングを選んでくれたはずのあなたの優しさを
「うるさい!もう放っておいて!!」と突っぱねて、何度も口論してしまった。
あの時、もう少し自分以外の人の痛みを想像できれば。
自分の「特性」とやらを言い訳にすれば、何してもいいなんて勘違いしなければ。
あなただって、同じ。
悲しむ。怒る。
私と同じ一人の人間だって理解できていたはずなのに。
悔やむことは、燃えないゴミより溜まっている。
でもようやくなんだ。
今日も自分で洗濯をする。
今日も自分で料理をつくる。
私の生活は少しずつ再生していった。
そう、私はもうあなたがいなくても独りで生きていける。
独りでも……。
「ただいまー」
あなたの温かい声が今日も、夕暮れで赤く染まった部屋にこだまする。
私はいつもの拙い笑顔で玄関に向かう。
「おかえりなさい!」
ねえ、独りでも大丈夫だからこそ、あなたとまだ。
ううん、また生きたいって思えたんだ。
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