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シルバーウィーク
643文字
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「そういえば、貴方、シルバーウィークに予定はあるんですか」
金曜の夜九時を過ぎた頃。テレビを見ている私の横でスケジュール帳に何やら書き入れている彼が言った。
「何だ? そりゃ独居の初老への皮肉かい。休みの日とシルバーとを掛けて……ううむ、皮肉屋になったものだね、君も」
「ち、違いますよ! 僕は普通に予定を聞きたかっただけですッ! まったく……!」
私の鬱陶しい突っ掛かりに全力で乗っかってくる彼の若々しさと来たら。可愛くて、目に入れても痛くないや。
「君は本当に私を飽きさせないね。で、シルバーウィークとやらの予定だが、今のところかポッカリ空いているよ。ああ、もしかしてデートにでも誘ってくれるつもりかな?」
わざとらしく笑ってやると、彼は目を見開き、すぐに視線を逸らした。顔が赤い。あれまあ、図星だったのか。
「……そ、そうだと言ったらどうするんです」
ぎこちない彼の言葉は、一層可愛らしくて頬が緩んだ。
「ふふ……うむうむ、君がどうしてもというのならそのデートに乗ってやろう。勿論、とんでもなくスリリングな場所へ連れて行ってくれるんだろうね」
私が顔を寄せると、彼は困った様に小さく笑った。
「そんな所に行って、貴方に倒れられたら困りますよ。僕は出来るなら、何にもない公園で貴方とのんびり散歩がしたいです。それからお互いの事を、もっと話しませんか」
真摯な言葉の数々に、私は目を丸くして固まった。愛おしそうな目をして……可愛い子だな。私はため息をついて肩をすくめる。
「……そっちの方が、心臓に悪いというものだ」
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