ホラー・怪談
『蟲』
340文字
約1分で読了
「額縁に蝶が並んでいるように見えたと?」
「はい、とても、とても綺麗だったんです。黒や茶色、錆色をした蝶が、額縁に沿って綺麗に並んでいたんです」
「ほう」
「額縁に飾ってあるのは、亡くなった愛猫の写真でね、色合いも似ているもので、最初見た時は目がおかしくなったかと驚きましたよ」
「その蝶は飛んでいきましたか」
「いいえ。この目で捉えた瞬間蝶は消えて、元の額縁の姿に戻ってしまいましたよ」
「他にもそういった経験はあるのですか?」
「ええ。よく字消し屑や壁の染みなんかが、小さな虫に見えて、時々動いている気配がするのでゾッとしますよ。本当に小蠅がいる時もありますので、いつも二度見してしまいます」
「確かに、あの見た目ですから、私にも見えてしまうかもしれませんね。では、処方箋を出しておきますね」
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