コメディ・日常
兵士と平和な世界
630文字
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「子どもが元気に外を走り回れる世界ってのは、良いモンだな」
昼下がりの公園でそう呟く貴方の横顔は、いつにも増して穏やかに見えました。
「そうですね。こんな日常が、いつまでも続けばいいのにと思います」
僕がそう返すと、貴方は子ども達がはしゃぎ回るのを見ながら眉を吊り下げてみせます。
「ていっても、日常を続けていく義務があるのは俺達大人なんだ。大人が真面目に世界を作っていかなきゃ、子どもが走り回る場所すらなくなっちまう」
「……言いたい事は分かります。ですが、そんなに簡単ではありませんよ。真面目に世界を作るというのは」
意地悪な僕の台詞に、貴方は笑いました。そしてゆっくりこちらを向き、優しい眼差しで言います。
「それでも諦めてないんだろ?」
「……ええ。戦う事しか、出来ませんけれど」
「はは。それがお前なりの一歩なら、否定しないよ。きっとお前の戦った果てには必ず希望があるって……俺は信じてるから」
貴方の義手が、小さく軋む音がしました。僕は、戦いを退いた貴方に希望を託されている。そして僕は貴方の願いを背負うと決めた。だから僕は今もこの世界を守る兵士でいられている。
いつしか訪れた、快晴の公園に似合わぬ僕達の重い沈黙。しかし、それを子ども達の大きな笑い声が引き裂きました。
途端に柔らかく涼しい風が吹き、二人でハッとして顔を見合わせます。
「……平和だな」
「平和、ですね」
陽の光が、温かく降り注ぎます。
子ども達は、変わらず笑い声を上げて無邪気に小さな世界を走り回っていました。
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