SF・ファンタジー
生意気ロボット
1,455文字
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カスタムドールがゴミステーションに捨てられていた。
この手の自動人形はもう百年以上前に生産が終了しているはず。ましてや現代、購入しようと思えばあまりにも高額になってしまうはずだ。
私はそれを抱えると自分の家まで連れて帰った。
随分と雑に袋に入れて捨てられていたものだ。
梱包を外してボディを布で拭いてゆく。
顔立ちは幼い少年のようだ。
まだドロイド―自動人形―が作られ始めたばかりの時代、完全に人間にそっくりなドロイドが作られていた。しかしそれらはやはり倫理的に問題が出てくるという理由で生産が中止になった。
色々事件も起きたからだ。
私は改めてその少年の自動人形を眺めた。
顔立ちは全く人間と変わらない。ボディや所々、機械だとはっきりにわかる部分があるが。
生産が中止になった理由は、あまりにも人間に似すぎていたためだ。姿形も内面も。
問題になったケースでは、自分の子供の遊び相手として購入した家族が自動人形の方が可愛くなってしまい子供を殺害してしまったケース、自動人形を捨てると言って生きた人間を殺して捨ててそれが発覚したケース。
自動人形に全財産を譲渡するという遺言を残して大問題になったケース。彼らの人権を認めろと騒ぎ出す政治団体。
人間との境目があやふやな自動人形が作られなくなった理由は他にもあるのだが……
だが、生産中止から百年経って、これらのアンティークの自動人形が作られなくなっても彼らは高額で売買され愛好家たちが手放そうとしない。
彼らはとても高級なアンティークの商品なのだ。
だから、まさかこんなところに自動人形が捨てられていると思わなかった。ジャンク品なのだろうか。
人形たちのAIも長い間使用されその間に様々なことを学習してゆく。ひどい扱いを受けたAIはそれをそのまま学習してしまう。
結果的にひどくいびつな性格になってしまったAIはリセットされ場合によってはハードそのものを取り替えられる。
人間にとっては脳である部分を取り替えられるわけだから、正直 私としてはいくら何でも気の毒だと思う。
アンティークではなく中古品として売られる自動人形は全部AIをリセットされている。完全に初期化された状態で発売されている。
同じ自動人形でもその差はずいぶんとあるのだ。
それでもアンティークよりは安いとはいえ高額ではあるのだが。
結局自動人形の価値を決めているのは、使用者の人間の方なのかもしれない。
ゴミステーションで捨てられていたこの子はどうだろうか。
私は1つずつ 修理をしてゆく。ボディに多少傷んだり壊れていたりしたところがあったが 大まかなところは問題がなさそうだ。
この子はカスタムされている。
ボディから型番を割り出しいつ頃作られたものかを調べた。
オリジナルのタイプから客の好みによってカスタムして販売するタイプだったのだろう。あるいは購入してからカスタムしたのかもしれない。
……この子は誰かに似せて作られたのかもしれない。
例えば、死んだ子供に似せて作ったとか。
そういう風な使用のされ方はよくされていたらしい。
性格もプロトタイプのものからあらかじめカスタムして、口調や態度など調整されていたのかもしれない。
私は彼を起動させた。
ゆっくりと目が開く。辺りをキョロキョロと見回す。
「……なんだよ、これ。ここから下ろせよ!お前、誰だ?俺何されてたんだ?」
少年は怪訝な顔をしてそういった。
随分と生意気そうな態度で、だがしかし、あまりにも人間らしいそのセリフに私は思わず笑ってしまった。
――初めまして私は、――
こうして私と彼との新しい生活が始まった。
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