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憧れの先輩
726文字
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グラウンドを走る先輩の姿を3階から眺めていると、トンと背中を叩かれた。
「わ!…もう、ビックリするじゃん!」
「まーた部活サボって先輩見てるんでしょ。そろそろ集まるよ」
「だって…向こうは3年だし、陸上部はもうすぐ引退しちゃうし。見れなくなるんだよ?」
友人はやれやれと私の隣で窓の外を見る。
私達は高1だ。3年の先輩を見れる機会なんてあと少ししかない。
「告っちゃえば?」
茶化してくる友人に私は膨れて見せる。
「喋ったこともないのにムーリー!見てるだけでいいもーん」
「はいはい、もう戻るよ。こっちの先輩達に怒られたくないでしょ?」
そんな先輩らなんてどーでもいい、と言いつつ、私は友人に連れられ自分の部活に戻った。
そんなある日。
バフ!
校舎の曲がり角を右に入ったら、人にぶつかった。
どこ見て歩いてんの?!私は相手をギッと睨み上げた。
「!!!」
陸上部のあの先輩だった。
「あ…ごめん」
「………。」
勢いでつい睨んでしまった。これ絶対引かれてる!
慌てた私は謝ってくれた先輩に何も言わずに走って逃げた。
***
あれから数年後。
私と先輩は社会人になり、飲み友達になっていた。結局想いを伝えることはなかったけど、今はだべりながらお互いの仕事の愚痴を言って笑い合ってる。
「そんなこともあったなぁ。あの時はこえー1年だって思ったわ」
「懐かしい青春の日々だね。輝かしい!可愛い後輩できて良かったじゃん」
先輩は今年、私のあの友人と結婚する。照れくさそうにした二人が揃って打ち明けてきた時は、お祝いだー!なんて大はしゃぎした。
淡い恋心を抱いたあの時期。そして今の居心地の良い距離感。縁って分からない。
仕事の愚痴に話題が戻ってしまった先輩を眺めながら、懐かしいあの日にほんの少し目を細めた。
~完~
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