SF・ファンタジー

白い宇宙船の観測者

740文字 約2分で読了
作者:ReiN.
個体De-naedは、ある星を管理する存在だ。  彼女は、目的地に到達したらしい。 「すごく水があるね」  De-naedは窓から外を眺め、目を細める。 「この星どうかな?」  個体θ-N-01は個体De-naedに聞く。   「まだ観察しないとわからないよ」  彼女はその星の生命体を観察する。 「あら、よく手を繋いでいるね」 「そうだね、どういう意味かな?」 「個体同士、柔らかい部分を近づけて、呼吸を乱しているね」 「効率は悪そうだけど……彼らには必要なんだろうね」  二個体は首をかしげる。  長い期間、観察していくうちに、その星は徐々に活気を失っていく。 「個体同士そんなことしないで、もっとやることあるのに」 「ちょっと今回の星は私たちに向いてないね…」  二個体は落胆した。 「あぁ、繁殖行為の時間だね」 「そうだね」  彼女たちは行為を繁殖目的としか見ていない。  その周期は、どちらの身体にも負担を与えないよう設計されている。  ふと、彼女たちは、観察している星の行為を真似る。  De-naedとθ-N-01は、同じ温度を持つ指同士を、確かめるように絡ませる。 「やっぱり、どういう意味なのかわからないね…」 その後、De-naedは自慢の白い宇宙船のハンドルを握る。 「ここから約1,400光年……いや、条件次第で3,200光年先ね」 「じゃあ、次の栄養摂取周期までには帰還できるね」   ――彼女たちはそれを、昼食とは呼ばなかった。 恒星を糧とする文明にとって、 時間と距離は“空腹”の単位でしかなかったからだ。 De-naedはθ-N-01に問う。 「ねぇ、人間たちが言っている、あの”身体を選ぶ言葉”って、なに?」  θ-N-01は答える。 「わからないよ、だって私人間じゃないもん」  彼女の自慢の白い宇宙船は、人間には、飛行機雲にしか見えないようだ。
2026/09/20 ・ 👁️ 91回 ・ 💬 0件

\ 次の作品を探す /

読者の感想・応援メッセージ

まだ感想はありません。

0 / 1000文字