SF・ファンタジー
地球を出て行こうと思いました
700文字
約2分で読了
地球を出ていこうと思いました。
地球は住みにくいと気づいたんです。訳分かんない罵詈雑言の嵐、ありもしない虚像の波、執念深い幻影。
ありふれた日常が全部私のノイズだと分かった時、この地球から出ていくことを決意しました。
私はリュックにお気に入りの本一冊と、ノートとペンを詰め込んで六畳間を抜け出します。朝方の、絵の具を溶かしたような朝焼けが綺麗でした。これを見るのも、きっと最後でしょう。
私は走り出します。住宅街を走って、宇宙船の隠してある公園まで超特急。公園は勝手に工事中にしてあるから人は入れません。
公園に辿り着き、工事中の紙を貼った三角コーンの結界を抜けて宇宙船へ乗り込みます。昨日買ったコンビニのドーナツを頬張りながら、手際良く宇宙船を操作。心地良い感覚、まるで私だけが主人公みたい。
宇宙船が飛び始めます。朝焼けが透明な宇宙船と混ざり合います。もうお別れだ。ハッキリ感じて、私は小さく息を吐きました。
さようなら、は口から出ませんでした。飛び立つ時、街が遠くなる時、私は寂しさよりも清々しさを感じました。
途中の宇宙でスマホは捨てました。もう小さな箱庭は必要ないからね。これで、私は自由でしょう。
宇宙船は、平常通りぷかぷか泳いでいます。私は遠く離れた青い星を見ながら、お互いにその存在を早く忘れましょうねと、分厚い窓をなぞりました。
お互い、早く忘れましょう。もう、思い出さないくらい遠くへお互いに行きましょう。私達は、何処まで行っても他人なのですから。宇宙の果てでもそれは変わりません。
きっとこれからも、地球は丸く、青く、窮屈です。私はそれを、遠くから見つめるだけの存在として、この宇宙を彷徨うのでした。
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