コメディ・日常
ノラ・ジョーンズを聴きながら
990文字
約2分で読了
僕の友人リュウジは宇宙人だ。
中肉中背のそいつは毎朝通便の報告をLINEしてくるようなタイプで、運転は買って出るタイプで、最中は延々とFMラジオをご機嫌に垂れ流し、プレイリストをかけようものならあからさまに無言になり、3秒中2秒は脇見運転をして景色を楽しむタイプだ。
車は僕の所有物なのだけれど。
定期的に開催されるリュウジ主催のバーベキューは乾杯と同時にノラ・ジョーンズがBGMに採用され、それはランダムで繰り返し流される決まりだ。ごく稀にフランク・シナトラのMy Wayが入る。
だから、最初の一枚が焼ける前に
「10年後もこうやってみんなで集まりたいね」
のようなしんみりとしたセリフを誰ともなく発するハメになる。
僕の友人リュウジはとても優しい。
ある日コスモス祭りに行った時、散々道に迷った挙句、季節外れの炎天下を30分歩き、女の子の一人が顔面蒼白になっていることに気付くと
「もう子どもじゃないんだから具合が悪いなら自分で言わないと」
と言い聞かせ、蚊の鳴くような
「ごめん」
を引き出し、コスモスをしっかりスマホに収めた後、法定速度を10キロ下回る速度でコンビニを探す。
僕の友人リュウジはめちゃくちゃモテる。
理由は分からないが中学で出会って以来大学生の今まで彼女が途切れたことがない。しかも全ての元カノとも未だ親密な友人関係にあってバーベキューには必ず元カノの何人かが参加する。
その日のリュウジ主催のバーベキューでのこと。
食事後の焚き火の雰囲気がようやくノラ・ジョーンズに追い付いた頃、僕の友人リュウジは姿を消していた。
気になった僕は彼を探しに行くと山中も山中の木々の隙間で両手を上げ仁王立ちしているリュウジの後ろ姿があった。僕は音を立てずに踵を返した。
僕の友人リュウジはとても気が効く。
バーベキュー解散後、深夜近くに僕の家に着き、リュウジはいそいそと荷物を僕の部屋へと上げ
「疲れてるだろうから座ってろよ。オレがやるから」
と言い、汗を床に滴らせながら、1時間かけて荷下ろしをしてくれる。
少しでも手伝おうものならあからさまに無口になるので僕はただ座って絶妙なバランスで珍妙なシルエットに積み上がる荷物を眺める。
「じゃあ明日また大学でな! 早く寝ろよ」
とリュウジが手を振ったのは午前1時過ぎで、僕の友人リュウジはUFOに乗って深夜の住宅街上空にノラ・ジョーンズをうっすらと垂れ流しながら帰っていく。
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リュウジのいい奴エピソードどれもニマニマしてしまいました。
特に、"10年後もこうやってみんなで集まりたいね」
のようなしんみりとしたセリフを誰ともなく発するハメになる。"のくだりが好きです。
宇宙人要素が最後だけ出てきて露骨なのもよかっです。
楽しませていただきました!