SF・ファンタジー

理想の実現

495文字 約1分で読了
作者:さくら
「昔は夏になると40度を超える日もあったらしいな」 「そうみたいだね。今では考えられないけれど。いわゆる地球温暖化時代というヤツだ」 ​「かつての人類は自らの過ちに気が付き『脱炭素社会』を目指した。長い時間を要したが、それがほぼ実現したおかげで、今の快適な世界があるんだ」 「本当に。いい世の中になって良かったよね」 真夏の太陽が照りつける中、屋外のベンチで会話をする二人だが、汗ひとつかいていない。 ​「でも、人々は何故こんな世界を望んだんだろうね?合理的な判断とは思えないけど」 「さあね?あまりの暑さで頭がオーバーヒートしたのかもしれないな」 そう言って指先で頭を叩く仕草をすると、軽い金属音が響いた。 「さて、そろそろ仕事に戻るとするか」 微かなモーターの駆動音と共に、二人は立ち上がり歩き出した。 『完全なる脱炭素社会を目指す』 かつての人類が掲げた崇高な理想を実現するために、『忌むべき炭素化合物の塊』や『存在するだけで温室効果ガスをまき散らす怪物』はこの世界には必要がない、とAIは判断を下した。 超小型核融合炉を動力とする彼らの使命は、この世界にわずかに残されている有機生命体を駆逐することだった。
2026/10/19 ・ 👁️ 24回 ・ 💬 0件

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