SF・ファンタジー
アノマロカリス展示室
718文字
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博物館の中は静まり返っていた。
今日は惑星と惑星が衝突する日だから、こんな日には世界が交差するのだと館長が言っていた。
空には夢から生まれた生き物たちが飛び回っている。
虹の落ちた湖では夜の闇から生まれたクジラたちが泳いでいた。博物館はその湖の真ん中にあるのだ。
水晶でできた吊り橋を渡ると別館の古生物の館に行くことができる。
アノマロカリスが出迎えてくれた。
カンブリア時代の海が目の前に広がっている。
奇妙な姿をした生物たちが私の前を歩いて行く。
それは進化のその先に命を残せなかった者たち。
生きてゆくというのは、命をつないでいくということだ。
それはとても難しい。
どんなに優れた能力を持っていても、どんなに強くても、どんなに美しくても子孫を残さなければ消滅してしまう。
古代の恐竜たちがその大半が滅んでしまったように。
あの美しかった恐竜たちが。
だがここではそれらの生物はまだ存在する。
強くて美しい生物たちが。
生き残るということは何も強さや美しさが有利なだけではない。時には体が小さく生きていくのは困難なものが生き残る。
それは運命とも言えよう。
残念なことに、この別館にいる古代の生物たちはここから出ることができない。彼らが生きていた世界はもうとっくに滅んでしまったからだ。あるいは彼らが生きていた時代は。
私はここから外を見た。
夜の星たちが湖から続々と空に向かって登って行く。
星は無数に存在し、砕けた虹のかけらが星へと変わったのだと私は悟った。
やがて銀河だって生まれるだろう。
夜のクジラたちは星を飲み込み、やがて小さな宇宙へと姿を変える。
ここからまた新しい世界が生まれてくるのだ。
もしかしたら その世界にまた、アノマロカリスは生まれてくるのかもしれない……
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