恋愛
蝶と蛾
680文字
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昔、何かのテレビで「蝶と蛾」を明確に分けることは難しいと言ってた。
私とあなたのようだ
綺麗と地味は主観。
昼行性と夜行性も傾向であって例外がある。
でも私達は普段、さも明確に蝶と蛾を分けて見ている。
――
今日も学校に行く。
あなたとは目も合わさない。
当然、口も利かない。
あなた達のグループが教室中に聞こえる声でくだらない話をしている時に、私は数少ない友達ともっとくだらない話をする。
同じ教室にいるのに、まるで見えない壁でもあるようだ。
そうして朝と昼を過ごし、友達と「さよなら」して歩く。
歩く。
気持ちが昂ぶって、早歩きになる。
「遅いよ、サツキちゃん……」
「うん、ごめんね」
思わず笑みがこぼれた。
私達は夜だけの恋人。
朝と昼には、決して交わらない。
私はあなたを心音を感じるほどに、強く抱き寄せる。
そうして耳元で呟く。
「きっと、みんな想像もしないでしょうね。」
「サツキちゃんのせいだよ、学校では関係を秘密にするどころか……」
「『一切喋らないなら付き合う』なんて言い出すから、こんな面倒なこ――」
指であなたの口をそっと塞ぐ。
「だって……あなたは綺麗な蝶々だから」
「……?」
「私みたいな蛾は、近づいたらいけないの」
ワケが分からないって顔で、キョトンとしているあなた。
ああ、何て可愛い。
何て愛おしい。
けど……私のような蛾が近づけば、きっと汚れてしまう。
でも、私は知ってる。
皆が明確に分けても私だけは知ってる。
『本当は蝶と蛾に違いなんてない』って。
「ふふっ」
「あ、冷たいよ……」
冷え性の私と違ってなんて温かい手。
でもこうして手を繋げば、同じ体温になっていく。
どこまでも。
どこまでも――。
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