児童文学
秋桜たちのおしゃべり
924文字
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ある晴れた秋の昼下がり、子猫のクロちゃんトラックの上でお昼寝をしました 暖かくてポカポカ 気持ちが良いのです。
すや すや すや
優しい 秋の風が吹きます。
「ちょっと荷物を運んでくるよ」
飼い主の佐藤さんが トラックのエンジンをかけます。
上で子猫のクロちゃんが寝ていることも気づかずに。
トラックはどんどんどんどん走って行きます。
そして大きな建物の前で止まりました。
止まったはずみでクロちゃんは目を覚ましました。
「一体ここはどこだろう?」
クロちゃんはトラックの荷台からぴょんとおりました。
あたり一面、秋桜の花が咲いています。
初めて見る花に大興奮のクロちゃん。
秋桜はそよそよと揺れています。
白、ピンク、赤。黄色や オレンジ色の黄花コスモスもあります。
嬉しくなったクロちゃんは喜んで 花畑の中を走り回りました。
佐藤さんは気づかずにトラックのエンジンをかけて家に帰ってしまいました。
だんだんと空が 茜色に染まって夕方になってきました。
クロちゃんはお腹が空いてきました。
だけどここは一体どこなのでしょう?
お花が綺麗で走り回っていたけれど、知らない場所です。
寂しくなってクロちゃんはにゃーにゃーと、泣きました。
すると そよそよと揺れていた 秋桜 たちがクロちゃんに話しかけます。
「どうしたの猫の坊や、迷子なの?」
「お母さんはどこかしら?それとも飼い主さんと一緒だったの?」
「わかんない、ここはどこ?」
クロちゃんは泣き止んで秋桜たちの方を見上げました。
「それじゃあ坊や向こうにある大きい建物に行ってごらん 。人間がいっぱいいるからきっと力になってくれるよ」
「うん」
クロちゃんは建物の方に向かって歩いて行きます。
自動扉が開いて中に入りました。
職員さんが気がつきます。
「あらあら、子猫ちゃんは一体どこから来たの?」
クロちゃんを抱き上げてそう 尋ねます。
首輪の鈴が チリンとなりました。
「あら名前が書いてあるわね。それに電話番号かしら?」
職員さんは電話をかけて佐藤さんに連絡してくれました。
「ありがとうございました。クロ、どこに行ったか心配したんだぞ」
佐藤さんはクロちゃんを抱き上げてトラックに乗ります。
トラックの窓から秋桜を見る、クロちゃん。
そよそよと秋の風の中、秋桜は気持ちよさそうに揺れていました。
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