SF・ファンタジー
「びわの木と猫」
583文字
約2分で読了
50メートルほどさきのびわの木の下に猫がいる。
枝先に瑞々しく実ったびわに猫はどうしても届かない、ふりをする。
猫の見上げた先で小鳥が実をつつきにやってくる。
そうしているとヤクヤックが小鳥を狙ってやってきて上空をゆるりと旋回し始める。
ヤクヤックはフェニックスの子孫と言われているがもはやただの小中型の猛禽類である。
私は可能な限りゆっくりと横たわっていたゴーレムを起こし2本目のタバコに火をつける。
ヤクヤックが小鳥を捕獲する頃合いを見計らいゴーレムに鷲掴みさせる。
今日の夕食である。
ここ数ヶ月、羽を毟り取る魔術を研究していたがどうも上手くいかず、結局今回も手で毟る羽目になった。
猫が私の足に身体を押し付けゴロゴロと音を立てる。
「あなた、コーヒーを淹れてちょうだい」
毟る最中にも関わらず嫁がコーヒーをねだる。
「自分で淹れてくれないか。私のもついでに」
「いやよ。あなた、自分が一番淹れるのが上手いっていつも言ってるじゃない」
コーヒーごときまともに淹れられないとは正気の沙汰ではない、と平時思っているがこういう時は裏目に返る。
コーヒーを啜りながらヤクヤックを火にかける。
魔力を内包している野生動物はよく火が通り、良い脂の香りが十二分にたつ。
削いだもも肉を猫に与え、私たちは食卓を囲む。
「今日のデザートはびわを剥いたの。ほら、こんなにたくさん」
「お前はなんてことをしてくれたのだ」
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