その他

諸行無常DAYS

598文字 約2分で読了
作者:しとえ
 目の前で粉々に砕けてしまった硝子のスノードーム。 それは遠い日の大切な思い出の品だった。 あなたと出かけた思い出に、買って帰ったものだ。 自分の不注意にため息が出る。 あなたがいなくなっても、このスノードームの中でだけは永遠に あの日の雪が降っているように思えたのに。 あなたが存在したという証拠がまた一つ消えてしまった。  形があるものが壊れるのは仕方がないのかもしれない。 どうやったって人間は儚い。 永遠に残せるわけがない。そんなことは 十分承知しているはずなのに、また一つあなたの存在が消えてしまった。 私の記憶の中のあなたすらきっといつかは消えてしまうのだろう。 形のあるものはいずれその形を失い、消えてゆく。 この世界のサイクルがそうなっているのだから、それは仕方がないことなのだけど……  どういうわけだか私だけ、その世界から外れているらしい。 私自身がいつから存在しているのかは私ですら もうよくわからない。 千年前の記憶があるからきっと千年前から存在しているのだろうけど。  諸行無常の日々の中で、あなたという存在が失われてしまうのは辛くて仕方がない。いずれあなたは存在したということは 完全にこの世界から消えてしまうのだろう。 だが、あなたが存在したことを私は決して忘れたくない。  硝子の破片を集め、これをもう一度溶かして装飾品にすればあなたのことを思い出し続けることができるだろうか。 形を変えて、何度でもあなたのことを……
2026/10/12 ・ 👁️ 54回 ・ 💬 0件

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