児童文学
風の唄
371文字
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秋の風の精はふわりふわりと飛んで行きます。
みのりの季節がやってきて、あちらこちらでよろこびの声が聞こえるのです。
祭りのおはやしや、みんなの笑う声。
秋の風は運んで行きます。
それはやさしい風のうたになって。
けれども秋の風の精が聞いたのは、みんなのうれしい声ばかりではありません。
一人の悲しみや、泣いている声。
悲しいうたたち。
秋の風の精は悲しんでいる人々のところに、幸せのうたをとどけます。
悲しい思いをしている人たちがこれ以上悲しまないように。
泣いている人たちが泣きやんでくれるように。
秋の風の精自身のやさしいうたを。
金色や赤く色づいた葉っぱを風といっしょにはこびながら。
キンモクセイや秋の花の香りをいっしょに連れて。
澄み切った青い空には、いわし雲が浮かびます。
コスモスの花をゆらして、トンボたちとたわむれます。
おだやかな一日がすぎてゆくのでした。
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