SF・ファンタジー
神の一世紀
1,634文字
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××99年。つまり世紀末の出来事。
神が次の神を探し始めた。以外と知られていない事実だが、神の任期は一世紀で終わる。
とある神はある程度次の神の目星をつけていた。深い善の心を持ち、有智高才であれば男でも女でも、白人でも黒人でも構わない。何より差別はいけない。早速、神は彼らの元へ姿を現しに出かけた。しかし、文明が発展した今、誰一人、目の前に現れた神を神と認識するものはいなかった。
神は作戦を変えることにした。あらゆる場所に掲示板を出したのだ。
「次期神候補募集 男女・人種・国籍は問いません。來たる××年××月××日××時××分ここに集合」
候補地は地球上1989箇所を選んだ。神は何でもできる。掲示板を1989箇所立てるのに10秒もかからなかった。
そして、全ての指定候補地で指定時間ぴったりに神は面接を始めた。
しかし、この作戦もまたあまりいい方法ではなかった。あまり人が集まらなかったのだ。前にも言ったが、文明は一世紀前よりはるかに発展している。
心身深い人は世界にそう残されていなかった。そのため、集まる人々も期待していたより、随分と少なかった。
「仕方がない。この中で一番賢い人間を選ぶか。予定していた人間より多少能力は落ちるが致し方がない。私も早く任期から解放されたいからな。」
神はその中で一番善の心を持ち、頭のいい人間を選ぶことに決めた。その人間は男性だった。
「あなたは次の神です。任期は一世紀、その間人類を好きに操作できます。科学や文化を今より発展させることも、人類を滅亡させることもあなたの自由です。ではよろしく。」
神はそう言って持っていた杖を男に手渡した。すると、床に足のついた男の体が少し宙に浮き、服が漫画や映画で見たような、薄汚れた白いローブに変わった。
「あの、私は何をすれば…。」
「それは今言った通りです。何でも好きにできるんですから、自分が正しいと思ったことだけをすればいい。
そう言って神は男の元を去った。
さて、ここから主人公はこの男に変わる。便宜上、男の名前は新神とする。
初めは戸惑っていた新神だが、徐々に心と体が緊張してきた。背中にのしかかった責任は大きかった。何しろ人類を好きに操れるということは、自分のさじ加減一つで世界が良くも悪くもなるのだ。
自分は選ばれた人間だという自覚を持たなければならない。新神はそう自分に言い聞かせた。
神になった初めの20年、新神は立派な神になろうと張り切った。文明が必要以上に発展するのを抑制し、時には人々を結託させるため、大災害を起こした。また、音楽家や美術家も多く輩出した。新神はこの20年で神の仕事を大体理解した。時折人々が祈る祈りにどう応えるかもわかってきたし、人間は甘やかすとろくな事がないということも分かった。
次の20年では、各国の政治に手を加える余裕ができた。あらゆる国の刑罰を重くしたり、差別をなくすために新たな法令を作ったりした。
次の20年では人間が勝手に世界大戦を始めてしまった。多くの死傷者が出た。そんなに長く続かないだろうと思っていたが、世界を二つに割った戦争は思いの外長く続いた。「このままでは人類が自分の任期中に滅んでしまう。」そう思った新神は散々迷った挙句、その戦争の勝敗を決めた。
順調に神の仕事を継続していた新神だったが、次の20年で人間の世話をするのが辛くなってきた。多く起こる問題に、人々の祈り。それらすべてに対応するのは意外と神経を使った。全知全能の神と言っても、あらゆる方面からの圧力は感じる。時には感情的に判断を下す事も多くなった。
そして最後の20年。
新神は神の仕事に飽きた。
最後の一年は次の神候補を探すのに躍起になった。
「また次の一世紀の神に再任してなるものか。」
最後の一年は神探しのために、神らしい仕事を何もしていない。そのため、小さな混乱が各地で起こった。
おそらく次の一世紀も同じようなことが繰り返される。世紀末が不吉な時間だと言われるのはこういう神の事情があるからなのだ。
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