コメディ・日常
切り札まみれ
765文字
約2分で読了
「すごいね、お父さんって何でもできる!」
自転車の修理をしていたら娘がやってきて感心したようにそう言った。
毎日学校に自転車で通う娘。
パンクして困った顔をして帰ってきたのは昨日の夕方だ。
幸いにも今日は土曜日で仕事は休みだった。
僕はホームセンターで買ってきた自転車の修理キットで修理をした。
実際にこういったことは一度やってしまえば案外簡単だと思えるようになるだろう。
「真理子にも修理の仕方を教えてあげる」
僕がそう言うと娘は慌てて首を振る。
「そんなの私には無理だよ!」
「父さんだって真理子ぐらいの歳の時に初めて自分の自転車の修理をしたんだから、覚えたら すぐにできるようになるよ」
僕がそう言うと娘はちょっと困ったような顔した。
「えー、そんな難しそう!」
「大丈夫、一度やってみたらすぐになれるから」
「今日はもう父さんがやっちゃったから簡単な説明だけしておくよ」
「うーん、覚えられるかな?」
「大丈夫、大丈夫」
僕は娘に説明をしながらパンクの修理を進めた。
「とりあえず空気を入れて少し様子を見て夕方まで空気が抜けてないみたいだったらパンクの修理はできてると思う」
修理が終わり僕はパンク修理に使った道具を片付け始める。
妻が僕たちを呼ぶ声がして、娘と一緒に家の中に入る。
クッキーと紅茶を飲みながら一息つく。
「私とてもできるようになる気がしない。やっぱり、お父さんはすごいね。こんな切り札持ってるなんて!」
そう言われて私はちょっと嬉しいけど恥ずかしくなった。
「切り札なんて大層なもんじゃないよ。何でもやってみたら思ったより難しくないと思えるようになるよ」
「そうかなー」
「そうだよ」
「私もお父さんみたいにいっぱい切り札持てるようになるかな」
「きっとなるさ!」
僕はそう言うと娘はちょっと嬉しそうなを顔した。
クッキーと紅茶の時間はゆっくりと優しく流れていった。
\ 次の作品を探す /

読者の感想・応援メッセージ