SF・ファンタジー

僕はどこにいる?

992文字 約2分で読了
作者:lue
私は今 狂気の瀬戸際にいる 世間的な括りで言えば 私は『行方不明者』だ だが 私は確かにここに存在する さて… これはどういう事だろう? あれは遡る事 数年前 科学者である私は 秘密裏に開発していた 人を透明人間にするマシンの完成にこぎ着けた 手柄を独占したかった私は その事実を誰にも告げる事なく このマシンを使い 自分自身を透明人間にした 見事 透明人間化する事に成功した時は 実に興奮したものである それから しばらく 私は透明人間生活を存分に謳歌した 女の着替えを好き放題に 覗いたりなんかはまだ可愛いもので (お約束であり 透明人間の特権なので許してほしい) 他にも例えば 大物政治家の裏の顔を覗いたり 詳しくは割愛するが 人が透明人間になったら やってみたいと考えるであろう事は 大抵はやってみた まぁ あくまで私は科学者なので 本来 透明人間になってあれやこれやを楽しむために 研究を完成させたわけではない 科学者として 透明人間になるプロセスを完成させた その事実に意義がある 言わば 私は被験体だ マウスでの実験は 確かに成功していたのだが 人間で試してみない事には本当の完成とは言えない さて 実験は成功であり 透明人間生活も存分に楽しんだ え? 透明人間化のプロセスの成功が大事であり 「透明人間になって楽しむためじゃない」のではなかったのかって? それはそれ これはこれである 話を戻して 成果に満足した私は 元の普通の人間へと戻る事にした ちなみに この研究結果や完成したマシンなど 透明人間に関わる全ての事は 先に述べた通り 手柄を独占するためにも 誰にも告げないつもりだ だが そこで気付いた 透明人間になったまではいい しかし どうやって私は 元の体へと戻ればよいのだろうか? 透明人間になる研究には十数年もの歳月を費やした 研究に没頭するあまり あるいは 研究の成功に喜び興奮するあまりに そこまで 気が回っていなかった 透明人間から元に戻る研究を今から始めたとして 完成はいつになるか まるで見当も付かない そもそも 透明人間化の研究自体が 成功には偶然に助けられた面も多分にある 研究をするにも不便な体になってしまった 果たして 透明人間から元に戻るマシンを 本当に完成させられるだろうか? そして 本当に元の体に戻れるのだろうか? 正直なところ 不安は尽きない これからの事を考えると 実に絶望的な気分である …… この手記を読んだ者へ どうか 私を見つけ出してほしい 私はこの世のどこかの片隅に きっとまだ 確かに存在するはずなのだから
2026/10/18 ・ 👁️ 29回 ・ 💬 0件

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