コメディ・日常

忘却の同窓会

636文字 約2分で読了
※シリアスな人間ドラマ みんな忘れているかのごとく、楽しく話す。 みんななかったことのように、飲食を行う。 高校を卒業して10年目の同窓会。 前日、いつもならそのままごみ箱送りだった招待状を手に、机に向かった。 家でペンが必要なんて久しぶりだったから、引き出しを手探りし ようやく見つける文房具。 高校時代は毎日握っていたのに。 社会人になって身に着けた、どうでもいい知識が 「御」の文字に二重線を引かせる。 みんなも同じ気持ちだといいなと淡い希望をもって参加したが どうやら「それぞれの人生」とかいうものに塗りつぶされたらしい。 「二人目」の担任が、奥に座っているのが見えた。 本来あそこには別の人が座っていた。 今思えば激務の最中だったろうに、進路について真剣に相談に乗ってくれた。 親との衝突に寄り添い、自分の立場を悪くしても緩衝材の役を担ってくれた。 くだらない話でも聞いてくれて、私だけじゃなく生徒に慕われてた。 声が大きいのだけはちょっと苦手だったけど。 間違いなく、素直に尊敬できる大人だった。 色々なことを教えてくれた。 そして最後に教えてくれたのは、人生で初めて「身近な人が亡くなる」という経験。 別に後任の先生が嫌いなわけではない。 きっとみんなも本気で忘れたわけではない。 でもきっと本気で引きずっているわけでもない。 でも私は先生との思い出を、まだ自分の中心から外したくない。 たとえ皆とズレてたって、まだ塗りつぶしたくないから。 夜にぎやかに光る店を早々に後にした。 「私やっぱり変かな?先生……。」
2026/10/02 ・ 👁️ 56回 ・ 💬 0件

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