児童文学

風の唄

371文字 約1分で読了
作者:しとえ
 秋の風の精はふわりふわりと飛んで行きます。 みのりの季節がやってきて、あちらこちらでよろこびの声が聞こえるのです。 祭りのおはやしや、みんなの笑う声。 秋の風は運んで行きます。 それはやさしい風のうたになって。 けれども秋の風の精が聞いたのは、みんなのうれしい声ばかりではありません。  一人の悲しみや、泣いている声。 悲しいうたたち。 秋の風の精は悲しんでいる人々のところに、幸せのうたをとどけます。 悲しい思いをしている人たちがこれ以上悲しまないように。 泣いている人たちが泣きやんでくれるように。 秋の風の精自身のやさしいうたを。  金色や赤く色づいた葉っぱを風といっしょにはこびながら。 キンモクセイや秋の花の香りをいっしょに連れて。 澄み切った青い空には、いわし雲が浮かびます。 コスモスの花をゆらして、トンボたちとたわむれます。 おだやかな一日がすぎてゆくのでした。
2026/10/10 ・ 👁️ 46回 ・ 💬 0件

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