ホラー・怪談
『メイワクですスてないでください』
820文字
約2分で読了
昨日、後片付けでバタバタしていたせいで、ギリギリになったゴミ出しで、ゴミ捨て場に向かうと張り紙が貼ってあった。
『メイワクですスてないでください』
急ぎで回収業者が書いたのだろうか?
シワシワの紙にガタついてかなり汚い字で書いてあった。
誰かが別日のゴミを出したのだろうと、私は気にせず燃えるゴミを出した。
『フカイですジブンでソウジしてください』
次のゴミ回収日にも、貼ってあった。
最初は読みやすさと強調の意味でカタカナで書いたのだと思っていたが、もしかして、子供が書いただろうか?
何にせよ、以前の張り紙は効果がなかったらしい。
『スんでるヒトのキモチをカンガえてください』
なるほどと腑に落ちた。
どうやら向かいのマンションに住んでいる子供が書いたのだろう。
また気にせず、ゴミを出す。
『まだキがツかないの?おマエだよ?』
とうとう堪忍袋の緒が切れたらしい。
怒りにまかせて書いたであろう張り紙。
近所の子供という推理は合っていたらしい。
――次のゴミの日。
遠目から紙に書かれた文字数が変わっていることを確認する。
また今日もか。
燃えるゴミを出すため、近づく。
文字が読めるまで近づくと私はゴミ袋を落とした。
『スイドウカン』
私はゴミ袋をそのままにして、家に帰り、カギをガチャガチャと焦りながらもかけたあと、スタンガンと包丁を手に取り、家中のドアや押し入れを片っ端から開けた。
手の先が冷たくなる。
汗が背中を伝う。
次に考えたのは盗聴器や隠しカメラの類。
ネットでそういった被害を調べて、思い当たる場所を確認し尽くしたが見当たらなかった。
誰もこの家にいない。
誰にも聞かれてない、見られていない。
――最期に立ち寄った風呂場。
あの日を思い出しつつ、わずかに残った赤黒い跡を睨む。
自身の息切れと換気扇の音、わずかな水音。
何故か私の心音は自覚できるほどハッキリと聞こえ、周囲の音はどんどん大きくなっていくように感じた。
……頭上から子供の声が聞こえた。
『迷惑です。棄てないでください。』
\ 次の作品を探す /

読者の感想・応援メッセージ