SF・ファンタジー
ミイラさん、今日の日は
556文字
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月曜の朝、通い慣れた近くの公園に行くと、私がいつも座る場所に先客がいた。その人は白い半透明のビニールテープで体を覆うミイラさんだった。
「おはようございます」
私がそう話しかけると、ミイラさんはどっしりと構えて何処かを見つめたまま静かに頷いた。反応はしてくれるらしい。
私はベンチの空いたスペースに腰掛けて、ミイラさんへ更に話しかけた。
「昨日は酷い雨だったでしょう。大丈夫でしたか? このベンチも雨のせいで湿り気があって少し心地悪いですよね。それで、今日は朝のお散歩ですか。涼しい風に当たると、肌も少し違いますか」
私が適当に話しかけるのに、ミイラさんはただ頷くだけ。喉が渇いているから喋れないのか。私は途中で買ってきた缶コーヒーをミイラさんに差し出した。
しかし、ミイラさんは首を横に振って受け取らない。コーヒーが好きではないらしい。
「ふむ、では次会う時、麦茶でも持ってきましょう……って、おやまあもうこんな時間。ミイラさん、私は仕事があるので帰りますね」
私がそう言ってベンチから立ち上がってみると、ミイラさんは頷いた。
「さようなら、また会う日まで」
滑らかで少し高い声に、私は驚いた。何だ、喋れるではありませんか。しかも、合唱曲などを粋に引用して。
私は小さく笑い、ミイラさんに言葉を返した。
「ええ。今日の日は、さようなら」
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